スタンリー・キューブリック監督のこと |
2011-6-23 20:55 |

よく、○○が選ぶベスト映画とか、歴代映画ベストテンといったような企画がありますが、そんな時、SF部門で必ず一位に選ばれるのが『2001年宇宙の旅』(1968)ですね。
「何でアレがいつも一位なの?全然面白くないじゃん!」
と、どうしても納得いかない様子の友人が私の周りには何人も・・・
で、私はいつも
「あー、あれは面白いかどうかよりも、ベストと呼ぶのに相応しいかどうかが基準なんじゃないの? 実際いい映画でしょ。」
と、大体こういったやり取りになります。
でも、たいがい
「あれ、眠くならねぇ?」って
・・・(;´Д`)
そんなわけで、周りにいる人間と書籍などで見る評価のギャップが気になったので、キューブリック作品をあれこれと検索し、他人のレビューなどを読んでみたところ・・・
キューブリック監督って驚くほど評判が良いのですね。みんなキューブリックが好きなんだなぁ、と。
ただ
レビューの文章中にやたらと「キューブリック」という言葉(名前)が出てくる事にはちょっと違和感を感じましたけど。
キューブリックらしい、キューブリックのセンスが、作風が、演出が、手腕が・・・
と、キューブリックを意識しすぎている印象。
確かにキューブリックの作品が大好きなんだろうけど、それ以上にキューブリックの作品を評価している自分が好きなのかなぁ、と感じる人もチラホラと。
さて、
こんなブログの管理人である私がキューブリック作品をどう思っているのか、といいますと・・・
えーと、たくさんあるキューブリック監督作品の中から、SFあるいはホラーに分類できる作品に限定して、短い感想でも
まずは
『博士の異常な愛情』(1964)

普通に面白かった、といった程度。
コメディと知らずに見たせいか、どこかチグハグな印象。3回ほど吹き出しましたけど。
ブラックユーモアとやらにも、私のセンスではほとんどついていけず。
登場人物のやり取り、言葉遣いにはイライラ・・・
この作品、映画史に残る極上のコメディだそうです。
『2001年宇宙の旅』(1968)

ちょっと長すぎる印象ですが、ほぼ完璧。果たしてどこまでがキューブリックの手腕によるものなのか?
えーと、この作品より面白いと感じる映画っていっぱいあるのですが・・・
SF映画史上最も優れた作品、不朽の名作と呼べる作品は?
みたいな質問をされたら、やっぱりこれを選んでしまうかも。
色々な意味で、SF映画史上のベストと呼ぶに相応しい作品であると思います。品格とかも含めて、ですね・・・
大ヒットした娯楽作品などが一位になる筈もないので、私はこれで一応は納得しております。
『時計じかけのオレンジ』(1971)

昔、雑誌の対談で、SF作家を含む著名人がキューブリックについて語り合うという企画があったのですが、誰一人としてこの作品を褒めている人がいなかったのが印象的でした。
「キューブリックでも失敗作は作るんだよね。」
と、完全に失敗作扱い。
ところが、
現在、ほとんどの人がこの作品を絶賛しているのには心底びっくりしました。みんな本気で言ってるのですかね?
私は三回見てますが、つまらなくは無い、といった程度。
キューブリックの作品でなかったら「異色作」止まりのような気がしてならないのですが・・・
『シャイニング』(1980)

この作品、何かの本で最も怖いホラー映画の第一位に選ばれていました。
私もかなり楽しんで見ましたが、そこまで凄い作品かなぁ?といった印象。
名演、怪演と評判のジャック・ニコルソンですが、私には最初から頭が狂っているようにしか見えなかったもので・・・
平凡な人間が次第に狂気に取り付かれていく様子が描かれていればもっと怖かったのでは? と思ったわけです。それとも、この映画はこれで良いのでしょうか?
最初は狂人の素振りを見せず、本性が明らかになった時に「そういえば、どこか変だったなぁ」と感じさせる、という意味では『サイコ』(1960)のアンソニー・パーキンスの演技は絶品でした。
というわけで
全体的な感想としては、『2001年』は別格。他はどれも面白いし、楽しめるけど、評判ほど凄い作品だとは思わなかった、といったところ。あまり映画を深読みしない私には難しいのかも?
キューブリックを神と崇める人には怒られそうな事をいっぱい書いてしまいましたけど・・・
あ、そういえば
「見る人を選ぶ映画」なんて言っている人がいましたね。
なんて傲慢な言い草、と最初は思ったのですが、そんなのは全ての作品に言える事だと思うのですけど?
私は「キューブリック作品」には選ばれなかった人間ですが、少なくとも「ハリーハウゼン作品」には選ばれたようなので・・・
それで十分に満足しております(`・ω・´)
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コメント |
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コメント一覧 |
投稿者 : たあ
『博士の異常な愛情』は「キューブリックの映画」というよりは「ピーター・セラーズの映画」でしょうか。他の役者さんが演じていたら自分の評価もかなり変わっていたと思います。彼の演じるコング少佐も見てみたかった・・・
『2001年宇宙の旅』。SFX技術がどうの科学考証がどうのではなく、「カッコイイ映画」を創りたかったんだねこの人は、と感じた。しかもこの作品、リバイバルで観た。映画よりもアーサー・C・クラークの小説を先に読んでいたせいか批評に必ず書かれる難解なストーリーという感想は無かった。
映画は「読む」のではなくまさに「観る」ものなんだと実感しました。確かにマイベストの作品の一つであることは疑いの無い事実です。
自分も「キューブリックの」映画っていうくくりかたに違和感を感じます。巨匠が作ってもつまらんものはつまらんのです。しかも自分はキューブリックが巨匠とは思いません。
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2011/06/23 22:51 |
投稿者 : スダール
高校生ぐらいに2001年宇宙の旅をレンタルしましたが・・・早送りしてししましました・・・難しすぎたからかな?駄作と有名なスウォームも同時期にレンタルし「こいつは傑作だ!!」と思い今でも見続けています。
なんとなく僕はヒッチコック以外の天才肌の監督はなんとなく合わなくて職人肌の監督(本田猪四郎 バード・I・ゴードン などなど・・・)が好きです。
ですので、のSF映画史上最も優れた作品、不朽の名作と呼べる作品は?
質問されたら
吸血鬼 ゴケミドロ!!!と力強く言いうと思います。
(゜_゜) なにそれ??
って言われそうですが・・・
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2011/06/23 23:56 |
投稿者 : modstoon
キューブリックで選びなさいとなったら
私は『フルメタル・ジャケット』を選ばせていただきます
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2011/06/24 16:08 |
投稿者 : タノQ
[home]
わたしにとってのSF歴代ベストといえば 禁断の惑星 です。しょうじき生理的にキューブリックあんまり好きじゃなく、けれどシャイニングだけは面白いと感じました。ジャック・ニコルソン大好きだし。
超能力でてきますがシャイニング…SFではないですな、すいません。
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2011/06/24 18:29 |
投稿者 : パラディオン
たあさん、コメントありがとうございます。なるほど、「ピーター・セラーズの映画」って考えると、ある意味納得ですね。自分の場合、キューブリックらしさ、というのがどういうものなのかイマイチ理解出来なくて・・・
だから、ほとんどの作品が違う監督さんの作品には見えてしまうのです。
『2001年宇宙の旅』って難解ではないですよね!シュールな印象はありますけど。
「カッコイイ映画」を創りたかった、という印象ですか。キューブリック一人の業績ではありえないので、時代が生んだ偶然の産物とも言えますが、それだけでは片付けてしまうには凄すぎる作品という印象です。
キューブリック作品をひとくくりで考えるのって、彼にそれだけのカリスマ性があるという事かもしれませんね。まぁ、そういう考え方もアリなのかなぁ、と。
スダールさん
その質問で『吸血鬼ゴケミドロ』が出てくるとは、いやぁ、最高です。
私のブログでは「SF映画の空飛ぶ円盤」のことを書いた時にちょっとだけ触れています。
しかも「SFホラーの傑作」というコメント付きで。
知っている人はほとんどいないでしょうが、見たことのある友人達の間では評判の良い映画ですね。
長編映画であのオチは衝撃でした・・・
modstoonさん
SF以外だったらやっぱりこれですかね。『突撃』(1957)も良かったですが。
『ロリータ』(1961)とか『アイズ ワイド シャット』(1999)って正直よく分かりません・・・
おぉ! タノQさんのベストは『禁断の惑星』だったのですか!
ちなみに私の中でのナンバー・ワンは、
うーん、一つだけって難しいですが、あえて一つ選ぶとすれば・・・
ホームページですでにバレバレのような気もしますけど
やっぱり『禁断の惑星』です(* ̄ー ̄)v
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2011/06/24 21:06 |
投稿者 : たあ
確かにパラディオンさんの仰るとおり、『2001年・・・』はキューブリック一人で作った映画では無いんですよね、脚本もクラークとの共同で書かれているし、撮影監督のジェフリー・アンスワース、ジョン・オルコットの透明感のある画面。SFXのスタッフも錚々たるメンバーですしね。ダグラス・トランブル、リチャード・ ユーリッチ、ブライアン・ジョンソン、ディック・スミスetc...
CG全盛の現在から考えるとものすごく贅沢な作品ですね。
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2011/06/24 21:48 |
投稿者 : パラディオン
まぁ、当たり前といえば当たり前すぎる話なんですけどね。前作の『博士の異常な愛情』とあまりにも違うので、実際のところ、特撮スタッフなどの功績の方が大きかったのでは?などど考えてしまうわけです。完全主義のキューブリックのこだわりが生み出した作品かもしれませんけどね。同じスタッフでも、予算や監督が違えば全く違う作品になってしまうという例はいくらでもありますから。
ただ、キューブリック・カラーというものが理解できない私には、この作品を語る資格は無い、と思っています・・・
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2011/06/24 22:17 |
投稿者 : スダール
どこかの本によるとイタリアのアンソニー・ドーソンも特撮スタッフに入る予定があったそうです・・・水と油??アンソニー・ドーソン参加版の2001年見たいような見たくないような・・・
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2011/06/24 22:33 |
投稿者 : パラディオン
(゚◇゚;) !
それは初耳です。非常に興味深い、興味深かすぎる話ですね。先日、私がブログに書いたばかりの『惑星からの侵略』のアンソニー・M・ドーソンですか!
結局参加しなかった理由といきさつを知りたいものです。
あ、でも『SOS地球を救え』(1960)の宇宙シーンを見ていると、予算さえあれば、と思わなくもない、かも・・・
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2011/06/24 22:46 |
投稿者 : スダール
そうです。
でも、なんで円谷英二をスルーしたのかは不明ですが(本の内容がデマ?それとも宇宙大戦争の英語タイトルとアンソニー・ドーソンが作ったクロード・レインズ主演の映画の英語タイトルが微妙に似てて間違えたか?)それとこれも別の本で007は2度死ぬでもキューブリックが匿名希望(なぜだ??)で特殊撮影のアドバイスをしたとかしないとか・・・信じるか信じないかあなたしだい・・・(-_-)
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2011/06/24 22:56 |
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『2001年宇宙の旅』。SFX技術がどうの科学考証がどうのではなく、「カッコイイ映画」を創りたかったんだねこの人は、と感じた。しかもこの作品、リバイバルで観た。映画よりもアーサー・C・クラークの小説を先に読んでいたせいか批評に必ず書かれる難解なストーリーという感想は無かった。
映画は「読む」のではなくまさに「観る」ものなんだと実感しました。確かにマイベストの作品の一つであることは疑いの無い事実です。
自分も「キューブリックの」映画っていうくくりかたに違和感を感じます。巨匠が作ってもつまらんものはつまらんのです。しかも自分はキューブリックが巨匠とは思いません。