| ネモ船長と海底都市 | 
 | 2011-10-2 23:16 | 
 |  『ネモ船長と海底都市』(1969)
 
 まずはあらすじをビデオ・パッケージの裏側から
 
 19世紀末、リンカーン大統領の意を受けてヨーロッパに向かった上院議員らを乗せた客船が沈没。わずか6人の乗客が生き残り、ネモ船長率いる〈ノーチラス号〉に救われ、美しい海底都市へと連れていかれるのだったが・・・。ジュール・ヴェルヌの原作を元に、SFXの技術の粋を駆使した海洋冒険映画。
 
 というわけで
 
 この作品はヴェルヌの『海底二万里』の設定を借りたオリジナル・ストーリーの映画。
 
 えーと、私の場合ですね
 
 地底や海底に別世界が在るという設定、あるいはノーチラス号という言葉の響き
 
 これだけでも映画に感情移入できてしまいます。
 
 我ながら本当に単純だなぁ、といつも思うのですが・・・
 
 小学校時代に図書館で読んだジュール・ヴェルヌがトラウマにでもなっているのですかね? 悪い意味ではなく。
 
 で、映画の出来はどうなのか、と言いますと、これが何とも微妙な・・・
 
 オリジナル・ストーリーとはいえ、設定・キャラクターともディズニー版『海底二万哩』(1954)を意識してつくられたのでは、と感じてしまうところからしてちょっと微妙。
 
 ・船の難破
 
 ・ノーチラス号による救出、
 
 ・金塊などは貴重品でもなく、いくらでも採れる
 
 ・地上への帰還を禁じられ、ネモ船長と対立
 
 ・金を持ち帰ろうとする姑息なキャラクターの存在
 
 ほとんど同じです・・・
 
 ディズニーにしてはハードな作風だった『海底二万哩』にヒロインと子供を追加して、よりファミリー向けにした印象です。
 
 これは、何と言えばいいのか・・・
 
 アクの強さみたいなものを全く感じないというか、何と言うか、あまりにも普通すぎるといいますか・・・
 
 あ、そうだ! 中途半端なんですよ、この作品。あらゆる面において。
 
 って、ずいぶん失礼な事を言っているような・・・
 
 例えば海底都市テンプルメア
 
 
  海底世界の優れた科学力、地上の人間には想像も付かない別世界、ユートピアを表現したかったのでしょうが、残念ながら全てが中途半端な印象。
 
 これらのシーンで視聴者の度肝を抜くような美術、デザインを見せる事ができたら良かったのでしょうが、出来上がったものはスケール感に乏しく、観光ホテル程度にしか見えないのが残念。
 ペンギンや演技をするオットセイがいるし、ユートピアのイメージも安直すぎて、仮装パーティーにしか見えないし・・・
 
 続いてはノーチラス号
 
 
  このデザイン、好きです。ただ、内装がそれはど目を見張る出来ではないので、やっぱりこれも中途半端な印象を与えてしまいます。
 
 でも
 
 水中の場面はなかなか素晴らしかったです。クライマックスでのノーチラス1号、2号によるアクションシーンはなかなか見ごたえのあるものでした。
 
 水中撮影にはかなり力を入れているようで、建設シーンや水中牧場も素晴らしい映像でした。これらはこの映画の見どころの一つと言って良いでしょう。
 
 あと、役者さんですが
 
 ネモ船役のロバート・ライアンはともかく、この映画のヒーローでもある上院議員役がチャック・コナーズというもの微妙
 
 
  ミスキャストとまでは言いませんけど、顔がでかくて四角くて、ちょっとゴツ過ぎるというか・・・
 
 さらには
 
 子役の演技が下手すぎ
 
 水と空気を作り出す装置のヘンテコなデザイン
 
 閉所恐怖症の患者が圧力計を操作しただけで、街全体が壊滅状態
 
 エイが巨大化しただけの怪物
 
 などのトホホなシーンも多数・・・
 
 でも、決して出来が悪い映画ではないと思っています。お勧めはしませんけど。
 
 ノーチラス号のデザイン、金色に輝く海底都市テンプルメアと内部の描写
 
 これらは私の単純な脳みそを心地よく刺激してくれました。安心して見ていられるという事もあり、じつはお気に入りの作品だったりします。
 
 えー、最後に
 
 この作品を見るたびに必ず思い出す事が二つあります。
 
 一つは『緯度0大作戦』(1969)
 
 この手の映画を見ていていつも思うのは、ここに永遠に住めと言われたら自分だったらどうするかなぁ、という事。
 
 で、「緯度0」は住んでもいいけど、「テンプルメア」は狭すぎて嫌だなぁ、と。
 
 二つ目はチャック・コナーズを見ている時に必ず浮かぶ「天知茂」の顔。
 
 あまり似てないですけど・・・
 
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     | 投稿者 : たあ ノーチラス号のデザインはディズニー版が秀逸過ぎて自分の中ではあれを超える物は今のところ無いかなあ。舞浜の某テーマパークでもノーチラス号のあるエリアが一番好きです(笑)
 「復活の日」ではチャック・コナーズが潜水艦の艦長役でしたね。
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     | 2011/10/03 21:09 |  
     | 投稿者 : パラディオン ディズニー版のノーチラス号は完璧でしたよね。デザインはもちろんですが、重量感たっぷりに見せる特撮や、謎の巨大生物を思わせる演出など全てが完璧だったと思います。アレは別格。「復活の日」
 言われてみればチャック・コナーズ出てましたね。一回見ただけなのですっかり忘れてましたけど・・・
 あー、また見たくなってしまった。レンタルしてますかね?
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     | 2011/10/03 21:43 |  
     | 投稿者 : スダール 久しぶりです、この映画まだ見たことないないんですよね・・・一度レンタルビデオで見かけたんですがそのころちょうどビデオからDVDへの移行期だったので売られたか捨てられたかも・・・
 チャック・コナーズはマッド・ボンバーの俺が正義だー!!って言わんばかりに爆弾を仕掛ける男が強烈に思い出します・・・。
 
 エイを巨大化しただけの怪獣・・・ウルトラQで上位を争う地味な怪獣でボスタングってのがいた気が・・・
 それとこれもウワサばなし程度なんですがロジャー・コーマンが監督候補に上がっていたらしいです。
 もしそうなっていたらネモ船長はヴィンセント・プライスの可能性高いだろうな・・・・でも特撮シーンは海底軍艦から流用するかも・・・
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     | 2011/10/04 02:46 |  
     | 投稿者 : パラディオン この作品はこのまま幻となる可能性が高いような気がします。でも、役者さんの顔ぶれを見るとそうでもないかも。ヴィンセント・プライスのネモ船長っていいんじゃないですかね?
 『空飛ぶ戦闘艦』の船長だったし。
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     | 2011/10/04 18:43 |  
     | 投稿者 : 野辺夏夫 アーウィン・アレンの「SF海底都市」と同様、一目で心が無抵抗、かつ寛容になるタイトル・・私はTV放映で一回見たっきりですが、「燃えるサンゴ」アチチッ(やっぱり)、とか、金属棒のそばで指をおどらせて奏でる楽器とか、ドームの拡張計画とか、いろいろ芋づる式に思い出させてもらいました。私がかつて思い描いていたノーチラス号は、セイルも潜舵もないのっぺらぼうの黒い胴体に、凶悪な形の衝角が突き出た不気味な姿だったので、初めてディズニー版ノーチラス号を知った時にはぎょっとして、穴のあくほどじーっと見入った覚えがあります。キャラクター性の強さにおいてはさすがその道の覇者ディズニー、誰もあのデザインにかないませんが、大胆さ異様さにかけては、本作のノーチラスも負けていませんね。一見ごてごてしているようでいて、妙にスマートでもありますし・・それに「ノーチラス二番艦」というものの存在が、なにか無性に嬉しかったです。
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     | 2011/10/05 22:45 |  
     | 投稿者 : パラディオン 野辺さんもこの手のタイトルに弱いのですか(笑)デザインだけだったらこの作品のノーチラス号も素晴らしいですよね。ディズニー版にも引けをとらない個性あふれるデザインだと思いますが、ミニチュア丸出しだったのがちょっと残念でした。
 ディズニーは本当に見せ方が上手くて、特撮そのものの出来も惚れ惚れするものでした。
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     | 2011/10/05 23:10 |  | 
 
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「復活の日」ではチャック・コナーズが潜水艦の艦長役でしたね。