スペース・ウルフ -キャプテン・ハミルトン- |
2012-6-3 14:44 |
『スペース・ウルフ-キャプテン・ハミルトン-』は1977のイタリア製SF映画。
地球に届いた怪電波の発信源の調査に向かったキャプテン・ハミルトン。
降り立った惑星でクルー達は、巨大コンピューター(ロボット)によって奴隷化された異星人と遭遇する・・・
というわけで
『スタートレック』っぽいストーリーはちょっと面白そうです。
自主制作の匂いのする数少ない作品の一つで、特撮、脚本、演出、音楽、など全てが低レベル。低予算のB級SF映画に対してかなり好意的な私が見てもちょっと辛かった作品であります。
1977年ですか・・・
SFに対する愛情のようなものが感じられれば、また違った印象になるのでしょうが、SFファンを舐めているとしか思えない適当ぶりと安直さはとても『スター・ウォーズ』と同年代に作られたとは思えません。
まぁ、『スター・ウォーズ』が凄すぎたっていうのもあるのでしょうが、それを差し引いてもズバリ「駄作」ですね、これは。
批判しようと思えばいくらでも言えるのですが、この作品を褒めろと言われても
無理無理
と言いながらも、ロボットや宇宙船も出てくるわけで、根っからのSFファンならばそれなりに楽しめない事も無い、かも?
感想も力が入らないので適当に
まずはオープニング
テーマ曲とか効果音はファミコンみたいです。その音楽をバックに宇宙空間を漂うキャプテン・ハミルトンの宇宙船。
このレトロ感、嫌いじゃないぞ、と思って見ていると、あまりの大ざっぱさに次第に怒りがこみ上げてくるという・・・
だいたい記録装置がビデオテープっていうのがこの作品の手抜きを象徴しているように思えてなりません。
衣装のデザインも苦笑もの。体のラインがはっきり見える衣装は『スペース1999』っぽいです。女性がノーブラなのもB級作品の悲哀を感じさせます。女優さんたち恥ずかしくなかったのかなぁ?
俳優の多くがポルノ男優っぽく見えるんですけど・・・
怪電波をキャッチして、調査に向かうのに最適な場所にいたのがハミルトンの船だけという、この展開を見てもやはり『スタートレック』の影響を受けて作られたのではないかと。たぶん。
しかし、
別の任務が終わったばかりで了承できない、だの、行けだの行かないだのとハミルトンと上層部とのやり取りが延々と続き・・・
やっぱり駄目だ、この作品(苦笑)
テンポ悪すぎ。不要のシーンがやたらと長かったりするのは駄作に良くあるパターンで、何度も何度も
「もういいから、早く次のシーンに行ってくれよ」
と心の中で訴える羽目になります。編集がおかしくて話がつながらないシーンもあるし・・・
ところで
未来のSEXは肉体を必要としない、という設定のSF映画って多いですね。そのSEXに使う道具? はデススターみたいでした。
惑星に降りたハミルトン一行が出会った原住民がこれ
ほとんど劣化版スタートレックと言ってもいいような有様。写真では分かりにくいですが、耳とんがってます。
ロボットの襲撃シーンは結構気に入ってます
突っ立ったまんまのハリボテだけど、そのたたずまいは神々しく、クルー達との攻防、爆破シーンなどはなかなかの迫力でした。
下の写真、立ちションしてるように見えなくもないですが・・・
映画のクライマックスではハミルトン達の前にドーンと立ちはだかり、大演説を行います。
なんでも、このコンピューターは銀河征服を計画しており、損傷を負ってパワーを失った自分を修理させるためにハミルトン達をこの惑星におびき寄せたのだとか。
宇宙船の内部も敵のロボットも同じようなデザインなのが気になる・・・
しかしこのコンピューターの声
一応それっぽくエフェクト処理されているのですが、声優さんの息継ぎする音(しゃべる前に息を吸う音)がずーっと聞こえていたのには大爆笑してしまいました。言葉で伝えられないのが残念です。
これ以降の展開は支離滅裂
銀河を征服する予定の巨大コンピューターは、何か小さな部品のようなものを投げ込まれただけであっさりと自爆。
それに伴い惑星自体が爆発し、そこの住民は全滅。
と思ったら、仲良くなった一人だけがちゃっかりと宇宙船に乗り込んでクルーの一員に。自分以外の全住民が滅びたのにニコニコと談笑しております。
その後
クルーの一人がコンピューターに憑依されていて危機はまだ去っていなかった、というどんでん返しがあります。
憑依された乗組員の風貌は意味不明。歯がドラキュラみたいに尖ってるという・・・
だんだんホラー映画っぽくなってきました。
襲われた女性クルーを助けるため、憑依された乗組員立ち向かったのは、なんと原住民の生き残り!
二人が戦っている隙に女性クルーを部屋から連れ出したキャプテン・ハミルトン。そのまま部屋のエアロックを解除し、二人は宇宙空間へ投げ出されてしまいます。
こんな解決方法が許される作品があったとは・・・
全ての危機が去り、ようやく地球へ帰還できる、と思ったのもつかの間
こんどは宇宙船のコンピューターが敵のコンピューターに乗っ取られていた事が判明します。
ありがちですけど、どんでん返しその2、というわけですね、
船内に響くコンピューターの声と恐怖にひきつるキャプテン・ハミルトンの顔のアップで映画はおしまい。
最後は完全にオカルト映画に
演出次第では、驚愕のエンディングというのも可能だったような気もしますけど、この監督さんにSFは無理だったのかなぁ、という印象の作品でした。
ちょっと失敗。次はもっとお気に入りの作品にしましょう。
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コメント |
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コメント一覧 |
投稿者 : タノQ
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いや冒頭の紹介画像からして、オイシイところを一発かますぜ、みたいな系ぷんぷん薫りたつうえに、つづけてパラディオンさんの綿密なリポート拝読して、かなり楽しめる作品を視たような気分しますよ。
未見ですが、これは片腕ドラゴンのSF盤といった趣きなんでしょうか。
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2012/06/03 19:43 |
投稿者 : パラディオン
いやぁ〜、この映画は数少ない「時間の無駄」と思わせる作品でした。編集や演出の酷さは実際に観賞しないと分かりませんからね。私個人の感想ですが、一回で十分かな、と。
そんな私は今回の観賞を含めて三回目ですけど(苦笑)
「片腕ドラゴン」との共通点は感じられません・・・。あのような熱さは一切ありませんです(笑)
「片腕ドラゴン」は思い出、思い入れが大きい事もあり、大好きな作品であります。あのハチャメチャぶりは劇画の実写版でも狙ったんですかね?
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2012/06/03 21:23 |
投稿者 : たあ
邦題はどう考えてもSF作家エドモンド・ハミルトン、その著作「スターウルフ」シリーズから拝借したものでしょうね。
もうそれだけで「勘弁してください」って感じです(笑)
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2012/06/03 21:58 |
投稿者 : パラディオン
あはは、それ私も思っていました。
スペースも含めて邦題もかなり安直でしたね。
適当にSFっぽい言葉を並べて視聴者を釣ろうとしたのでしょうか(笑)
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2012/06/03 22:23 |
投稿者 : たあ
B級SFの定石通りのバッドエンディングですかね?
と、言うよりも制作者自身も何が撮りたいのか次第に分からなくなってしまうのでしょうかね?
観てる方も一体何の映画を観ていたのか分からなくなって、最後はどうでもよくなっちゃうという…(苦笑)
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2012/06/04 18:48 |
投稿者 : パラディオン
大団円と思わせておいて、実は危機はまだ去っていなかったのだ・・・
というのはB級映画の定番演出でしたね。
ただ、ほとんどの作品の場合、登場人物がそれを分かっていなくて視聴者にだけ提示されるというパターンで恐怖を煽ったものですが、この作品はちょっとやりすぎですね。この後の主人公の対応が描かれていないので消化不良で終わってしまいました。
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2012/06/04 19:17 |
投稿者 : 野辺夏夫
(まさか、続編を作るつもりだったのでは)
人によっては、うっかり見てしまうと世を深く憂えて、頭を丸めて出家したくなるような映画、のようですが…自主映画の匂いがするといっても、これは一応商業作品なのでしょう? ほぼ同時期に作られた和製スペオペ八犬伝のほうが、この映画に比べたらずっとマシだと思ってよいのでしょうか。
77年といえば、日本ではそのわずか数年前、ほとんどSF的といっていいスタイリングのイタリアン・スーパーカーに夢中だったことを思うと…あそこって幅のひろい国なのですね。
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2012/06/04 22:21 |
投稿者 : パラディオン
続編を作るつもり・・・
それはまず無かったのではと感じていますが(笑)
確かにこの作品は商業映画だと思います。セットや爆薬の使い方を見てもそれは感じますね。
自主映画のようだと思ったのは、演出と役者さん演技があまりにも素人っぽかったからです。あと音楽のチープさですかね。これらは写真と文章では伝わらなかったですね。
和製のスペオペも酷いのが多いですけど、これはそれら以下だと個人的には思っております・・・
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2012/06/04 22:35 |
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未見ですが、これは片腕ドラゴンのSF盤といった趣きなんでしょうか。