トータル・リコールのリメイクが上映中 |
2012-8-19 23:27 |

えーと、今回は雑談であります。
先日のコメント欄で映画と原作の話をしていて、たまたま思いついたのが『トータル・リコール』(1990)
私はこの作品が結構好きで、今でも年に2.3回は見ているほど。
でも
手元にある本などではあまり評価がよろしくなくて、ポール・ヴァーホーヴェンの趣味や演出がどうだの、ダン・オバノンの脚本がどうたら・・・
たしかに原作を読んでいれば、本当もっとサスペンスを重視した作品になるはずだ、というのは分かりますけどね・・・
映画評論家風に言えば、「絵」として見せる事を重視するばっかりに、肝心の「サスペンス性」の部分がなおざりにされている、という批評にでもなるのでしょうか。
原作を読んだか読まないかで評価が変わる事もあるでしょうし、原作に思い入れが強いほど、「原作に対する冒涜」のように感じる人もいるのでしょうね。
私もたまにそのように感じる事もありますが、やはりその作品次第かなぁ・・・
ほとんどの場合、別にいいんじゃあないかなぁ、だって映画なんだから? って考えちゃいます。
ヴァーホーヴェン版『トータル・リコール』に関して言えば、
あれだけ原作とかけ離れていれば、もうどうでもいいし、サスペンス性の部分で言えば原作で十分に楽しんだので「特撮」や「絵」を見せる事を重視した映画もやっぱり楽しいなぁ、と。
シャロン・ストーンは良かったですね、数度にわたるキンタマ攻撃。ヒロインのレイチェル・ティコティンは微妙でしたけど・・・

SF映画の場合はこういった考え方になるのですが、私の好きなもう一つのジャンル「ミステリー映画」に関しては、何故か思いっきり原作と比較してしまいます。
そういえば
いまさら、な話ですけど・・・
『トータル・リコール』っていわゆる「夢オチ」ではないか、という話があったのですね。
私も再見した時には、物語のプロットや結末までもが主人公のダグがリコール社で注文したのと全く同じだという事に気が付いて、ふとそう感じたのですが、製作者の意図は「視聴者の判断にゆだねる」というものだったらしいですね。
「夢オチ」ってタブーなので、はっきりと視聴者に提示してしまったらシャレになりませんから。ダグが夢から覚めて、奥さんといつまでも幸せに暮らしました・・・とか。
それでは原作はどうなのか、というと
全く違う話なので、全然参考になりませんです。
リコール社と秘密捜査官となって火星にいきたい男の設定だけを拝借して、ヴァーホーヴェンが娯楽作品に仕上げたのがこの映画。
原作は短編であり、主人公が火星に行く事もないのですから「夢オチ」という発想すら出てきませんでした。
短編からヒントを得て、あとは監督が自分のやり方で作る。やぱっり映画はこれで良いのだと私は思います。原作の良さを生かした作品が作られると、それはそれで嬉しかったりするのだから、我ながら勝手なものですけど・・・
ただ
「おお、あの作品が映画化されるのか!」とか「なんで、こんなのが映画化されるの?」とか、映画化する際に選ぶ原作の基準というものが、未だにさっぱり分からないのです・・・
で、見終わった後に「そこまで原作と違うなら、オリジナルを考えれば?」とか思っちゃうこともしばしば。
えーと、結局今回何が言いたかったのかというと
長編の映画化はダイジェストのようになってしまうので難しいんだろうなぁ、という事と
『トータル・リコール』のリメイクが早くみたいなぁ、と。

まだ見ていないのです、この作品。久しぶりにオリジナル以上に楽しめる作品を期待!
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コメント |
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コメント一覧 |
投稿者 : 野辺夏夫
あの恐ろしい道具を鼻に突っこむシーンで私はついトムとジェリーを連想して、以後クライマックスのあの顔まで、そのイメージが尾を引いてしまいました(だいたいシュワルツェネッガーの面相って、かなりカートゥーン的です)
公開時に一度見たきりですが、「これは夢なのだ」のサインだらけみたいに思えましたし、当時まだテリー・ギリアムの『ブラジル』の記憶が鮮烈だったこともあって、目が覚めた主人公の驚愕した顔が大写しになるラストシーンを半ば期待していたので、かえってキツネにつままれたような気持で劇場を出たことをおぼえています。皮肉でなく、映画そのものに化かされたような・・・
SF映画の場合、目新しそうな着想を得たあとで適当な原作を探す、というケースも結構あるのではないでしょうか。
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2012/08/20 23:21 |
投稿者 : パラディオン
なるほど、私など公開当時からしばらくは火星を舞台にしたヒーロー物としか思ってませんでした。相当鈍いですね・・・私。
カートゥーン的には笑ってしまいました。この映画のシュワルツェネッガーの顔は特に。
後から原作を探した映画といえば、以前ブログで書いた「地球の静止する日」がそうでした。
あと、ハリーハウゼンの「原子怪獣現る」もシナリオが偶然ブラッドベリの「霧笛」に酷似していたため、慌てて映画化権を買った、という話もありますが、真相はどうだったのでしょうか?
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2012/08/20 23:46 |
投稿者 : たあ
P・K・ディック原作の映画化と言うだけで当時は公開前から期待値が上がっちゃってましたね。
「ブレードランナー」が前例を作っちゃいましたから…
自分もその一人だったのですが、確かにジェリー・ゴールドスミスの音楽の流れるオープニングを観て期待するなと言う方が無理でしょう(苦笑)
前半は意外と面白かったんですけどミュータント(というか監督の趣味のフリーク?)が登場し始めてから少し雲行きが怪しくなってきたぞ〜 で、衝撃のラスト(途中から読めてきちゃいましたけど…)。
ディックの名前をあまり表面に出さない方が良かったのかな?
「変種第二号」に基づいた「スクリーマーズ」なんて映画があったなあ、こちらも???なラストになっちゃたけど(苦笑)
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2012/08/28 20:18 |
投稿者 : タノQ
[home]
リメイクこしらえるのが、はや過ぎるような気が、わたしはするです。BLOBなんかは、けっこう年月たってたから特撮とかセットとかに明白な技術的の進化がみられて、ほええー、と感心いたしましたけど。
しかし、この作品も、もう20年たっちゃってるんですね。い、いつのまに…。
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2012/08/28 21:05 |
投稿者 : パラディオン
たあさん
たしかにディック原作って一つの売りでしたよね。
「スクリーマーズ」って当時ボロクソに言われてませんでしたっけ? 私はあの荒廃した雰囲気の映像が好きだったので批判的な意見にも「そんなに悪くないのになぁ?」なんて思ってました。今でもよく鑑賞する作品の一つです。
アイデアだけ拝借して、全くちがう作品にすれば、って本文中で書きましたけど、その点「スクリーマーズ」って微妙でしたね・・・
「変種第二号」はゾッとしましたけど、映画はその小説とは違うオチが簡単に読めちゃいました。おっしゃるとおり???なラストでした。
タノQさん
いつの間に20年以上も経ってしまったのか、って感想、全く私もその通りに感じています。ワクワクしながら映画館へ行ったのがついこの間のような気がして・・・。私の中では『トータル・リコール』なんて最近の作品だったんですよね(苦笑)
『ジュラシックパーク』が1993年。ということは、『トータル・リコール』CGが本格的に使われるちょっと前の作品なので、リメイクもありなのかもしれませんけど、私は他にリメイクしてほしい作品が山ほどあります。私にはやっぱり基準が分かりませんです・・・
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2012/08/28 21:32 |
投稿者 : アマンダ
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パラディオンさん、初めまして。
幅広いSF映画の蘊蓄に感心しながら拝見しました。
この映画、ディックの『追憶売ります』のイメージとずいぶん違ってて、ちょっとがっかりした覚えがあります。そもそも主人公がムキムキ男っていうところがもう(シュワごめん)。
皆さんおっしゃってますが、ブレードランナーの二匹目ドジョウだなぁって。でもおっしゃる通りエンタテインメントとして面白ければいいや。
ところで、こちらへは検索ヒットでたどりつきました。ラリー・コーエン監督の『空の大怪獣Q』についてレビューを探してまして、昨年7月19日の記事に行き当たりました。興味深かったので超遅レスですがコメントつけさせていただきました。いきなりですみません。
SF全般好きなので、この後の記事も楽しみにさせていただきます。ありがとうございました。
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2012/08/29 07:16 |
投稿者 : パラディオン
『空の大怪獣Q』の方にコメントした後でとりあえずリンク先の記事を拝読させていただきました。失礼ながらマイケル・モリアーティという役者さんの事は良く知らなかったのですが、アマンダさんの記事とても興味深かったです。ロバート・ジョンソンを連想したのも、まるっきり見当違いというわけでもなかったんですかね?
全く違った目線で『空の大怪獣Q』また見れそうです。
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2012/08/29 21:42 |
投稿者 : アマンダ
[home]
ありがとうございました。
別にブルース・スタイルじゃないのにモリアーティの演奏でロバート・ジョンソンを連想されたのは、何か本質的なものを感じられたんでしょうかね。不思議です。
SFとロバート・ジョンソンというと、『テラプレーン』っていうロバジョン好きの殺し屋の話があります。誰か映画化してくれないかな。とはわがままですが。
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2012/08/29 23:27 |
投稿者 : パラディオン
あはは、自分でも不思議なんですけどね・・・。強いて言えば、本当に人に聞かせる気があるのか、って感じる奔放さとでもいいましょうか、いや、やっぱりちょっと無理がありすぎるかも。
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2012/08/29 23:42 |
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公開時に一度見たきりですが、「これは夢なのだ」のサインだらけみたいに思えましたし、当時まだテリー・ギリアムの『ブラジル』の記憶が鮮烈だったこともあって、目が覚めた主人公の驚愕した顔が大写しになるラストシーンを半ば期待していたので、かえってキツネにつままれたような気持で劇場を出たことをおぼえています。皮肉でなく、映画そのものに化かされたような・・・
SF映画の場合、目新しそうな着想を得たあとで適当な原作を探す、というケースも結構あるのではないでしょうか。