クラーケン タイタンの戦い |
2010-4-10 23:54 |

以前に私のブログで「タイタンの戦いがリメイク決定」というニュースに触れましたが、いよいよその公開時期が迫ってきました。
というわけで、今回はハリーハウゼンのモンスター図鑑第十三弾として、クラーケンでも。
多くの映画で巨大なタコやイカの姿で描かれているクラーケンは、北欧の船乗りたちの間で語り継がれてきた怪物で、ギリシャ神話とは無関係。
ウィキペディアに結構詳しく載っていました→クラーケン(Wikipedia)
ちょっと補足
クラーケンに関しては様々な伝説が残されています。
18世紀中頃の伝説では、クラーケンはその巨大さゆえに、誰もその全体像を見ることができなかったとされています。
海上に出ているのは体のほんの一部で、それが島のように見えるので、船乗りたち怪物とは気付かずに上陸する事もあったとか。
すると、触角のようなものが何本も伸びてきて、それに捕まれば人間だろうが巨大な船だろうが、なすすべなく海底に引きずり込まれてしまったそうです。
このあたりの伝説が、18世紀の後半から19世紀にかけてクラーケンが巨大なタコやイカの姿で描かれるようになった理由だと思われます。
19世紀初頭のイメージがこれ

クラーケンは恐ろしい怪物であると同時に豊漁をもたらす神獣とも言われていました。
よーするに、クラーケンが餌として魚をおびき寄せるから、クラーケンいる所に魚あり、大漁大漁というわけです。クラーケンの上で釣りをする猟師もいたとか。しかし人間がその餌になっていまった場合は魔獣扱い。勝手なものですな・・・
下の画像はハリーハウゼンがスケッチしたクラーケンです

イーマ竜のような顔に五本の指がついた手、魚のような尻尾。吸盤のようなものにかろうじてタコの面影があります。
良く言えば独創的なのでしょうが、醜悪なモンスターを勝手にクラーケンと呼んでいるだけのような気も・・・
ただ、ハリーハウゼンは北欧神話の海獣とは別物、というのをほのめかすような事を時々インタビューで語っているのですが、全く無関係という事は無いでしょう。
『キングコング』での生贄のシーンに影響され、少しでも「人間」をイメージさせようとした結果、このようなデザインになったのだとか。
確かに、生贄となったアンドロメダの前でタコの触手が暴れていても、イマイチ絵にならないような気がします。
それに、タコは『水爆と深海の怪物』(1955)でとっくの昔に登場してますから。
ちなみに、このクラーケンのモデルは1.2メートルもあり、ハリーハウゼンが扱った全てのアニメーション用モデルの中でも最大の物だったそうです。アニメートするのも大変だったようで、もう年なのに・・・
えーと、リメイク版『タイタンの戦い』ですが、先日映画館でもらったチラシを見る限りでは、クラーケンはもちろん、メドゥーサ、ペガサスなどのキャラクターも登場するようです。そして冥界の王ハデスが主人公ペルセウスの敵役だとか。
となると
ギリシャ神話の「ペルセウスの物語」からはますますかけ離れた内容となるわけですが、いったいどんな作品になることやら・・・ただ、3Dで見れるのは非常に楽しみではあります。ド迫力の映像に期待。
ギリシャ神話のオリジナル「ペルセウスの物語」がどんな話なのか、私のホームページの方に書いてありますので、興味のある方はどーぞ。
ペルセウスの冒険(ギリシャ神話)
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コメント |
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コメント一覧 |
投稿者 : na
タイタンの戦いについてpixivでこんなことが書かれていました。
「ハリーハウゼン最後の特撮作品であるが評判はあまり芳しくない。
メデューサやカリボスのシーンに比べクラーケンのシーンがあまりに適当なのである。
前半では洪水のシーンは後ろ姿と尻尾の先だけの出演である。尻尾はいかにも作り物のような大雑把な造形物である。
アニメーションの人形が活躍するクライマックスのシーンも短く物足りない。
クラーケンの下半身は海だの岩だのに隠れてよくわからないし腕をくねくねさせてるだけで石になって死んでしまうのである。制作意欲がメデューサのシーンで燃え尽きてしまったのかと思うほどあっけない。
予算やスケジュールの都合もあっただろうが全盛期のハリーハウゼンならもっと違った表現になっただろう。」
自分は映画を見て確かにその通りだなと思いました。上陸して全身像を見せてほしかったし、アンドロメダを助けようとするペルセウス及びペガサス、そしてアンドロメダを救おうとする大勢の兵士たち相手に大暴れしてほしかったです。また、タイタンの戦いにはクラーケンがペガサスを粉々に引き裂き、アンドロメダが映画のクライマックス中に裸で現れるなどのカットされたシーンがあったそうです。後者はともかく前者は見てみたかったです。パラディオンさんはどう思いますか。パラディオンさんの意見が聞きたいです。
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2021/08/13 11:41 |
投稿者 : na
同じくタイタンの戦いに出てくるカリボスについてですが「シンドバッド虎の目大冒険」のミナトンでもおもったんですが、「これなら無理に人形アニメでやらずに、着ぐるみでやったほうが良かったんじゃあ…」と思いました。
映画を見てストップモーションでやる必要性を感じなかったので。役者を使ったほうが時間も大幅に節約でき、クラーケンの方に労力を使えたんじゃないかと思いました。パラディオンさんはどう思いますか。
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2021/08/13 12:05 |
投稿者 : パラディオン
手厳しい評価ですが、実際その通りでしょうね。メデューサのシーンは日本のテレビ番組でも職人技としてその技術が紹介されたこともああるほどでしたが…。やはり時間と予算なのかもしれません。ペガサスはほとんどジム・ダンフォースの手によるものだったと記憶しています。初めてこの作品を見たのが子供の頃だったにも関わらずカリボスのシーンは違和感ありましたね。着ぐるみで統一した方がよかったかと感じました。関係ありませんがブーボーのフィギュアは宝物です。
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2021/08/13 18:40 |
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「ハリーハウゼン最後の特撮作品であるが評判はあまり芳しくない。
メデューサやカリボスのシーンに比べクラーケンのシーンがあまりに適当なのである。
前半では洪水のシーンは後ろ姿と尻尾の先だけの出演である。尻尾はいかにも作り物のような大雑把な造形物である。
アニメーションの人形が活躍するクライマックスのシーンも短く物足りない。
クラーケンの下半身は海だの岩だのに隠れてよくわからないし腕をくねくねさせてるだけで石になって死んでしまうのである。制作意欲がメデューサのシーンで燃え尽きてしまったのかと思うほどあっけない。
予算やスケジュールの都合もあっただろうが全盛期のハリーハウゼンならもっと違った表現になっただろう。」
自分は映画を見て確かにその通りだなと思いました。上陸して全身像を見せてほしかったし、アンドロメダを助けようとするペルセウス及びペガサス、そしてアンドロメダを救おうとする大勢の兵士たち相手に大暴れしてほしかったです。また、タイタンの戦いにはクラーケンがペガサスを粉々に引き裂き、アンドロメダが映画のクライマックス中に裸で現れるなどのカットされたシーンがあったそうです。後者はともかく前者は見てみたかったです。パラディオンさんはどう思いますか。パラディオンさんの意見が聞きたいです。