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マーシャン・クロニクル/火星年代記

先日、ネットでこんなニュースを発見しました。

1950年に発表されたレイ・ブラッドベリの傑作SF小説「火星年代記」が、米20世紀フォックス製作で映画化される可能性が出てきた。
米ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、「プレデター」シリーズや「アイ, ロボット」などSF映画を多く手がけてきた同社のプロデューサー、ジョン・デイビスがこのほど、「火星年代記」の映画化権を獲得したという。
同作は、火星に移住した人類を描いた連作短編集。80年に一度、マイケル・アンダーソン監督、ロック・ハドソン主演でTVミニシリーズとして映像化、日本でもDVDリリースされているが、これまで劇場映画化されたことはない。

と、ゆーわけで

今回はその1980年の『マーシャン・クロニクル/火星年代記』

えー、最初に原作についてですが

私はレイ・ブラッドベリの大ファン。

そして

全てのSF小説で一番好きな作品は? と聞かれたら迷わずこの『火星年代記』を選びます!

1950年に出版された原作は、26のエピソードが連なって一つの長編となっている、いわゆる連作短編集というやつ。

初めて火星に到着した地球人が消息を絶つという事件に始まり

伝染病による火星人の滅亡、地球人の移住、火星人の生き残りとの接触などが描かれ、地球に核戦争の危機が迫ると、植民者たちは地球へ呼び戻され、火星を放棄します。理由あって火星に残された少数の人々は、夜空に閃光を放ちながら燃えさかる地球の姿を目撃。核戦争により地球の文明は滅びてしまいます。

それから20年の時が過ぎ、生き残ったある一家族が再び火星への移住を計画。そして、自らが新たな火星人となる・・・というエンディングまで、それぞれ主人公が違う独立した物語として描かれています。

各話には1999年1月から2026年10月までの年月が付記されているので、時の流れが非常に把握しやすく、読みやすいのが特徴といえます。

この作品では、SFでは今や古典的とも言えるアイデアが数多く用いられています。

宇宙船、予知夢、テレパシー、記憶・潜在意識の実体化、時間の歪みによる異次元との交錯、肉体を超越した意識だけの生命体、ロボット、地球最終戦争、伝染病による種の滅亡、科学の暴走、地球最後の男、などなど・・・

すごいなぁ

もうこれだけでもお腹いっぱい、といったところですが

これらのアイデアといかにもSF的な小道具類がブラッドベリの手にかかると・・・

ブラッドベリといえば、その詩的で幻想的な作風から「SF界の吟遊詩人」などと呼ばれていますが、この作品も本当に読んでいてため息が出るほど美しい。その独特のテイストに酔いっぱなし・・・。うーむ、原文で読めるほど英語が堪能でないのが本当に残念です。

まぁ、私がいくら文章で書いたところでその魅力は伝わらないので、万が一にもSFファンでこの作品を読んでいない方がいたら一読をお勧めいたします。エンディングも感動的だし、はっきりいって完璧な作品でしょう、これは。

ちなみに、別の短編集に収録されている作品で、この『火星年代記』のエピソードともいえる作品がいくつかあります。
『火の玉』、『荒野』などの短編がそれで、全エピソードが26だったり、27だったりと発売された年代、出版社などにより異なる場合があります。

原作の話が長くなってしまいました。

それでは、映画の方はどうなのか、というと

三部構成で約300分。いくつかのエピソードが省かれているものの、かなり原作に忠実に作られています。


おそらく、原作のファンでこの作品に満足した人はあまりいないのではないでしょうか。

うーん、でもこれは仕方がない。個人的には、TVムービーとしては上出来かな? といったところ。原作への思い入れが強すぎて客観的な評価は不可能だと思われ・・・

ただ、原作を意識してとても丁寧に作られているところは好感が持てたし、満足できなくても失望するほど酷い出来ではないと思います。

原作にはないプロローグが付け加えられ、ロック・ハドソン扮するワイルダー大佐のナレーションで物語は進行します。
このワイルダー大佐が全編を通しての主人公に設定されているため、原作では27年間の物語が、映画では数年の話になっており、多少スケールダウンしている感は否めません。

原作と比較しながら見るのも面白かったし、原作ではそれほどはっきりと描写されていたわけではない火星人の服装や住居、都市などのデザイン、セットも神秘的でよかったです。やけに上品というか・・・

この映画の監督は『80日間世界一周』(1956)のマイケル・アンダーソン。一応巨匠と呼んでもいい監督さんなんですかね? SF関連では『ドクサベージの大冒険』(1975)や『2300年未来への旅』(1976)といったビミョーな作品を監督しています。
大どんでん返しのミステリー『生きていた男』(1958)もこの監督でした。これは・・・、ここで語る事ではないので省略。

主演のロック・ハドソンは好演ですね、さすが! コーネリアス(ロディ・マクドウォール)や『スペース1999』のバリー・モースなどSFファンにはなじみの俳優さんが出演しているのも見逃せません。

映像化されなかった「第二のアッシャー邸」というロボットが登場するエピソードがあるのですが

この手の話を見聞きしていつも思うのは、人間と区別がつかないほど精巧なロボットを作るのって相当難しい事ではないのか、という事。

どれほど科学技術が進んでも、ブラックホールの謎が解明されワープ航法が可能なほどの未来でも、たとえ、物質転送装置や重力遮断装置が発明されようが、現在のSFがほとんど現実になったとしても・・・

本人と区別がつかないロボットとタイムマシンを製造するのだけは絶対に無理

そんな気がするのですが・・・、どうなんでしょう?


長くなりましたが、最後に原作者のレイ・ブラッドベリはこの作品をどう思っていたのか、というと

1979年9月に放送予定だった『火星年代記』は記者会見での原作者による不評を考慮し一旦棚上げ。1980年1月まで放映が延期された、というエピソードが残っています。

これはブラッドベリが記者会見で「これは、ヒドイものだ。極めて退屈だ。」といった趣の発言をしたのが原因だとか。

よほどガッカリしたのですね・・・

ほかのインタビューでは、特撮の出来について「あまりにもみすぼらしかった。ロケット、砂船は哀れなくらい小さなオモチャに見えた」と語っています。

たしかに(^^;)

しかしブラッドベリは、この棚上げとなった期間を「やり直すチャンスだ」と前向きに捉え、自ら編集作業に加わります。

そしてようやく放送日を迎えた『火星年代記』を友人たちと自宅で見たブラッドベリは

「夜が更けるにつれ、私たちはあまりにも深く失望したので、ビールを数ガロンも飲んだ・・・」

との事 ( ̄_ ̄|||)

本を読んだ誰もが感じているかも知れませんが、これは活字で読んでこその作品、ブラッドベリのテイストを味わう作品であって、それを映像で表現するのは相当困難だと思うのですが? 映画でこの原作のファンを納得させるのはほとんど不可能だと思いますけど。ましてや原作者ともなれば・・・

でも本と映画はまったく別モノ。映画もそれほど悪くなかったですよ。逆に原作を知らない方がそれなりに楽しめるのかなぁ・・・?

この映画にはそれほど思い入れがないので、リメイクに期待!
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