恐怖のワニ人間 |
2011-3-20 23:00 |
『恐怖のワニ人間』(1959)
人間の抑圧された記憶を催眠状態で蘇らせるという研究をしている精神科医。ある時彼は興味深い被験者を見つけ、友人の医師を呼び、被験者をベッドに寝かせて実験を開始。被験者となった看護婦のジェーンは驚くべき体験を語りだすのだが・・・
というわけで
名作、あるいはヒット映画が作られると必ず作られるのが、その作品の二番煎じ、あるいはバッタ物と言われる映画。
この『恐怖のワニ人間』は明らかに前回書いた『蝿男の恐怖』(1959)の二番煎じ。
とは言ってもこの作品は『蝿男の恐怖』と同じ20世紀フォックスが訳あって作らせたという低予算映画なので、ある意味由緒正しいというか、完全はバッタ物とは言えないような気がします。
妻であるジェーンの回想シーンで進行する物語や、怪物そのものが怖いわけではなく、怪物化した男の苦悩を描いているという点も『蝿男』と同じ。
正しくは『ワニ人間の悲劇』
全体的にそれほど悪くない出来だなぁ、といった印象なのですが、これはまぁ、全体の構成そのものを『蝿男』から拝借しているので、一定のレベルはクリアしている、と感じるのも当然かも知れません。
正直、結構好きなんです、この作品。
辺りが沼地だらけの田舎に建てられた豪華な屋敷と研究施設も、ホラー映画の舞台としてはなかなか良い雰囲気だし。
『蝿男の恐怖』と比べるとまぁ、アレですけど
ワニの再生能力を応用した新薬による治療で怪我から回復したものの、お約束の副作用により、次第にワニ化が進行する主人公ポール
変身する過程のメイクは皮膚の質感もなかなかリアルに出来ています。凄い迫力・・・
被験者の姿も個性的で結構不気味
実は、個人的に最も印象的だったのがこのシーン。かなりゾッとしたのを覚えております。
そして生死を賭けた治療に失敗し、ワニ人間と化してしまったポール
ショッカーの怪人ですか(^^;)
実験台もそれっぽいし。しかもこの構え・・・
この被り物を作ったのは『蝿男』のメイクも担当したディック・スミスという人物。
これだけワニそっくりに変化したのなら、ワニとして第二の人生を送れるのでは?
と馬鹿な事を考えているうちに・・・
ワニ男に変身したポールはヤケクソになり、妻の制止を振り切って沼地へと逃げていきます。
自分の姿を水面に映し、両手で顔を覆い絶望するポール
何の必然性もなく本物のワニと格闘を始めるポールとそれを見て絶叫するジェーン
ポールが底なし沼にはまり、ぶくぶくと沈んでいくシーンでジェーンの回想シーンは終わります。
どれほど役者さんたちが熱演しようとも、被り物のせいでほとんどコントにしか見えないんですけど・・・
で、エンディングは
ジェーンの話を録音したテープを前に、険しい表情で話し合う二人の精神科医。
「見かけは正常だが、ジェーンは記憶喪失によって心の安定を保っているのだ」
「だが、今はまだ話すべきではないだろう」
という結論に落ち着いたところで、エンドマークが出て映画は終了。
うーむ、なんとも微妙な・・・
まぁ、いいか、としか言えないような終わり方でした。
ところで
屋敷の使用人を演じていたロン・チェイニー・ジュニアが結構いい味だしてました。
映画全編を通して奇行を繰り返すロン・チェイニー・ジュニア。
その存在感を見ていると、なんだか彼のための映画だったような気がしてなりません。
私にとってこの映画の主役は、間違いなくこの元祖狼男!
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コメント |
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コメント一覧 |
投稿者 : タノQ
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いつも感じさせられるんですがレビュ文中で絶妙のポイントに絶妙のタイミングで
ええツッコミ
入るんですね、このブログ。
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2011/03/22 18:50 |
投稿者 : たあ
[mail]
結局この作品もラストは収拾が付かなくなって適当に終わらせてしまった感がありますな(笑)
仲間(?)のワニ同士でなぜ喧嘩?ほぼワニ化したのになぜ沼で溺死?
まあ沼に沈んでいくワニ人間の姿はあわれですが・・・
ディック・スミスと言えば「ゴッド・ファーザー」「エクソシスト」「タクシー・ドライバー」「小さな巨人」「アマデウス」などの特殊メイクアップで知られる巨匠ではないですか。さらにリック・ベイカーのお師匠さんですよね。
どんな人でも下積みの時代はあるわけですな?それに当時は裏方色の非常に濃いポジションではありますけどね。
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2011/03/22 19:03 |
投稿者 : パラディオン
ツッコミといえば、まぁ、私が取り上げる映画は、ツッコんでください、と言わんばかりの作品が多いですから・・・。実際、B級作品を対象にツッコミだらけの文章でレビューを書いている方もいらっしゃいますからね。どんな最低映画でも、一つくらいは良いところがあるハズ。という事を念頭に置いて書いているつもりなのですが、なかなか上手くいきませんね・・・
たしかに、ラストは適当っぽいですね。もしかしたら、考え抜いた挙句の結末かもしれませんけど?
ワニ同士でなぜ喧嘩?には笑ってしまいました。そのままやり過ごせたのに、わざわざ振り返って格闘を始めるんですよね?
そういえば、この時代の特撮マンはあくまでも裏方だったんですよね? ハリーハウゼンのような人は例外で。70年代には個人名がクローズアップされるのは当たり前でしたけど。
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2011/03/23 00:27 |
投稿者 : ガンダムオタク
俺YouTubeで見たらかなりドキドキした。ただ衝撃の画像は無かった。
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2013/10/10 21:14 |
投稿者 : ガンダムオタク
俺もう一度確認して動画時間的に書くと実験前の患者は27分59秒で、沈むシーンは1;12;19です。
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2013/10/11 20:33 |
投稿者 : パラディオン
ガンダムオタクさん、どうも。返信おくれましたが。ん?ガンダムオタクさんのいう衝撃の画像とは?? ところで、YouTubeでも昔の作品って結構見れますね。たまに見たい作品が丸ごと一本アップされてたりして…
その名の通りガンダムオタクなのでしょうか?
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2013/10/14 19:50 |
投稿者 : ガンダムオタク
あれですよ。上の経験者の写真
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2013/10/15 14:40 |
投稿者 : ぱらでぃおん
あら?そうなんですか…私的に一番の衝撃シーンだったんですけど、それは残念です。テレビ放送をアップしてたのでしょうか??放送禁止シーンってほどでもないと思うのですが。
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2013/10/16 08:40 |
投稿者 : ガンダムオタク
僕も衝撃のシーンでした。池に沈むシーンも。
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2013/10/20 18:27 |
投稿者 : ガンダムオタク
てか沼に沈むシーンはあわれでしたよほんと、心臓がドキドキしました。あ、そうそうこの映画、メタルギア3で興味が入りました。
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2013/10/30 19:04 |
投稿者 : パラディオン
メタルギア3はよく知りませんが、いつ見てもこの映画の独特の雰囲気には惹かれるものがあります。ちょっと範囲広めの密室風とでもいうか…
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2013/10/31 20:29 |
投稿者 : ガンダムオタク
メタルギア3はゲームですよパラディオンさん
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2013/11/29 19:29 |
投稿者 : パラディオン
映画と勘違いしているような下手な文章でしたね。「この映画の独特の雰囲気」というのは『恐怖のワニ人間』の事です。ゲームに関してはゼビウスとかマリオで止まっているもので…。暇つぶしにレーシングゲームなど未だにやっていますが。
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2013/11/29 21:45 |
投稿者 : 大和 駿
メタルギアソリッド3の無線での会話でこの映画のタイトル出てきたんでググってみたら良いレビュー発見!
なるほど、ツッコミ所の多い映画なんですね。
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2014/10/18 02:25 |
投稿者 : パラディオン
久しぶりにコメントいただいたところで、今夜の映画鑑賞はこの作品にしてみますか・・・。
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2014/10/18 20:59 |
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ええツッコミ
入るんですね、このブログ。