| 地球最後の日 | 
 | 2011-9-27 21:27 | 
 |  もー三週間も休日なしで疲れました・・・
 
 仕事が一段落したところで、地球最後の日(1951)
 
 地球にザイラとベラスの二つの惑星が接近。ベラスは地球に衝突するが、通過するザイラは地球と非常に良く似た環境であることが判明する。人類はザイラへの移住を計画し、ロケットの製作に取り掛かるが、乗れるのはわずか四十名のみ。地球最後の日にくじ引きが行われ、搭乗者が決定するが・・・
 
 というわけで、
 
 オープニングのナレーションでは聖書の一節が引用される、現代版「ノアの箱舟」ともいえる惑星の衝突による世界終末を描いた作品です。
 
 製作は月世界征服(1950)で世界中にSFブームを巻き起こしたジージ・パル。
 特撮はパル作品でお馴染みの巨匠ゴードン・ジェニングス、アーク号のデザインなどの美術はアルバート・ノザキ、マット画はシェスリィ・ボンステル
 
 後に最高傑作『宇宙戦争』(1953)を生み出したメンバーですね。
 
 ちなみに原作となったフィリップ・ワイリーとエドウィン・バーマーの小説は『ディープインパクト』(1998)の原作にもなっているようです(クレジットされていないとの事)
 
 他のジージ・パル作品同様、これも大好きな映画です。
 
 ただ、地球規模で起こる天変地異の話にしてはスケール感が今ひとつだったような気が・・・
 
 アメリカ国内だけの話かと勘違いしそうなほど
 
 パニック映画の割にはスペクタクルシーンはそれほど多くなく、どちらかといえば人間ドラマがメインの作品。
 
 劇中のセリフから、各国で宇宙船が建造されているというのが分かるものの、実際に描かれていたのは、宇宙船の建造に携わったほんの一部の人間のみ。
 
 もっともアカデミー賞を受賞しただけあって、少ないながらも特撮シーンはなかなか見ごたえはありました。
 
 
  一部の人々のドラマに終始した印象があるにも関わらず、ドラマがあまり好きではない私が見ていても、決して飽きるという事はありませんでした。
 
 パル作品がよほど性に合っているのか・・・?
 
 いや
 
 性に合っているというよりも、不快なキャラがあまり登場しないので、あまりイライラする事無く見ていられるということかも。
 
 これは、ほとんどのパル作品に共通していますね。
 
 さらに
 
 冷静に考えてみたら「そんな馬鹿な」と思えるプロットでも、不思議と違和感を感じさせない、というのもパル作品に共通するところでありまして・・・。科学的考証に基づいたシーンを随所に挿入したりして、荒唐無稽な物語にリアリティを持たせる、本物っぽく見せるのが上手い、とでも言いましょうか。
 
 
  荒唐無稽さとリアルさが程よくミックスされた印象があります。こういったパルの演出にはいつも関心してしまうのですが、そう感じるのって自分だけですかね?
 
 でも
 
 この作品に飽きがこない理由はそういった部分ではなく、単純に流線型の宇宙船が大好きなだけかも。
 
 時々画面に映し出されるアーク号の姿を見ているだけで、もう夢心地というか・・・
 
 未完成のアーク号も美しい。そして発射シーンは何度見ても血が騒ぎます。
 
 
  (* ̄。 ̄*)
 
 ところで
 
 天体衝突をテーマにした作品の先駆的存在、というよりも映画としてはこれが世界初? まして、衝突を回避出来なくて地球を見捨てて脱出するというのも珍しい。箱舟に乗るのが全員白人というのも、なんだか・・・
 
 日本人には絶対に作れない映画ですね、これ。日本的にはやっぱり『妖星ゴラス』(1962)のように大団円を迎えないと。南極に巨大な噴射口を作って、地球を移動させるという・・・
 
 さて、そんなわけでアーク号は無事ザイラに到着します。
 
 
  希望にあふれた新しい人類の出発を表現したと思われるこのマット画。
 
 子供心に「これ、絵じゃん!」て思いましたけど・・・
 
 天体画の巨匠シェスリィ・ボンステルが何故銭湯の絵のような作品を描いてしまったのか、というのは以前私なりに分析しておりますので
 
 CHESLEY BONESTELL(シェスリィ・ボンステル)
 
 各国から脱出に成功した人々が新惑星に集う、くらいの派手なエンディングにしてほしかったですね、この作品。
 
 たしかリメイクの話を聞いたような気がするんですけど、どうなったのでしょう?
 
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     | 投稿者 : たあ これ、映画よりも小説を先に読んだ記憶があります。小学生のころに図書室にジュブナイル版があったのですが、タイトルがあまりにも衝撃的で読むのをしばらく躊躇していました(苦笑)。当時は日本沈没やらノストラダムスの予言やらと終末テーマが流行ってました。地元の科学館のプラネタリウムでも太陽系の未来の姿について解説を聞き、我々の地球もいつかは終末が来るのだという事実を知って愕然としたものです(まあ、自分の寿命の尽きる方が早いのですが・・・)。 |  
     | 2011/09/27 22:07 |  
     | 投稿者 : パラディオン 日本沈没とか懐かしいですね。テレビシリーズも夢中になって見ていました。次第に日本の形が変わっていくという・・・終末をテーマにした作品って一定の周期でブームが来るような気がしますね。自然災害映画が流行って、天体が衝突してブームが落ち着く、みたいな印象があります。
 私は原作を読んでいないのですが、図書館にあったのですか、これ。何だか凄い・・・。私がSFを好きになったきっかけの半分位は小学校の図書館にあるのですが、この作品は無かったですね。
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     | 2011/09/27 22:24 |  
     | 投稿者 : esme |  
     | 2011/09/29 00:33 |  
     | 投稿者 : パラディオン esmeさん貴重な情報ありがとうございます。私も英語にそれほど自信ないですけど、映画のラストの背景は未完成のラフだった、と読めますね。いずれにしても天体画家のボンステルらしくない絵ではありますが、ラフスケッチだったと考えるとある程度は納得できますね。しかし、何故セットを使用しなかったのか。予算と時間の都合ですかね、やっぱり。「それ以前のパラマウント・スペクタルの抜粋」
 そういえば、ゴードン・ジェニングスが過去に特撮を担当した作品から一部流用されている、というのは私も何かで読んだような記憶があります。
 フィルムの流用は事実だとしても「抜粋」というのはどうなんでしょう?
 アカデミーの特殊効果賞を受賞しているほどの作品だし、この映画の特撮方法の解説も読んだ覚えがあるので、部分的に使用されているといった程度ではないでしょうか。
 同じパル作品の『謎の大陸アトランティス』では「過去の映画からの抜粋シーン」が大量に使用されていました。もしかしたらこのあたりと混同されてしまったのかなぁ、なんて思ったりします。
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     | 2011/09/29 21:48 |  
     | 投稿者 : esme 石上三登志氏の話(手塚治虫氏との対談)ですが、これがよく分らないのです。「抜粋」(←この表現も如何なものかと思いますが…)と言っても、あくまでも「天変地異のくだりは」ということなのですが、『タイフーン』のことを「カラー映画」と言ってしまってますし。
 何か資料を参照しながら話しているようでもありますが、正確な情報収集が困難な時代の記事ですしね。
 
 ボンステルの件に関しては、たしか米アマゾンの『地球最後の日』DVDのレビューでも触れている人がいたと思います。
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     | 2011/09/30 00:03 |  
     | 投稿者 : パラディオン なるほど、ボンステルの件は間違いなさそうですね。それほど古い書籍でなくとも結構間違いってありますよね。長いこと信じていた豆知識がまったくのデタラメだったこともしばしば。ビデオが主流の時代にはパッケージの裏に平気で嘘が書かれていましたから。情報の錯綜によるミスなのか、確信犯なのかはちょっと判断できませんけど・・・インターネットには感謝です。
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     | 2011/09/30 20:23 |  
     | 投稿者 : 野辺夏夫 私は、あのマット画の出来はともかく(子供心は空想映像の品質にはたいへん寛容なものでしたし)、彼方にかすんで見える均整のとれたピラミッド状のシルエットや、塔のようなもの、それから最後の最後にちらりと映るダムのような建造物らしきものを、長いこと疑問に思っていました。映画は何の説明もなくそこでブツリと終わってしまうのですから・・原作の全訳が出版されたのを読んでみて、それと、あの絵がラフスケッチだったらしいことを今こちらで知って、やっと、なぜあんなものが描かれていたのか、なんとなく察しがつきました。小説のラストは、かすかな希望を秘めながらも晩秋の夕風のような寂寥感がいっそ爽快なほどの冷徹な描写で、私は好きですが、かなり意外でもありました。 |  
     | 2011/10/01 15:39 |  
     | 投稿者 : パラディオン 確かに建造物らしきものが描かれていますよね。子供の頃は全く気にしていませんでした。後に気が付いた時も、深い意味はないだろうなぁ、といった程度に考えていましたが・・・原作と関係があるのですか? これ未読なのですが、無性に読みたくなってきました。 |  
     | 2011/10/01 21:03 |  
     | 投稿者 : スダール  僕もいっぱいSF映画のポスターが載っている図鑑で。テストのマット画をかきあげて。
 「さー、これから本番だ〜!!」
 パル「あ、ごめん。もう予算ない」
 
 (´;ω;`)
 ってきな内容の記事を読んだことがあります。
 この映画で一番記憶に残っているのは地震のシーンでも洪水のシーンでもなくお札で火をつけてタバコに火をつけるシーンです・・・千円でもできないよ・・・
 
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     | 2011/10/04 02:56 |  
     | 投稿者 : パラディオン 最後の疑問は、何故ラフスケッチを使用したのか、という事だったのですが、皆さんの情報によりなんとなく全貌が見えてきたような気がします。タバコのシーンは確かに印象的でしたよね。私も宇宙船、最後の絵、その次くらいに印象に残っていました。
 画像を載せようとしたのですが、静止画だとお札だって分からないし面白くないので止めたのです。
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     | 2011/10/04 18:49 |  | 
 
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