バック・ロジャース |
2012-8-14 14:00 |
『バック・ロジャース』は1939年に製作されたシリアル(連続活劇)
テレビシリーズではなく、劇場で上映されていたやつですね。
連続活劇といえば、真っ先に『フラッシュゴードン』を思い出しますが、こちらの主役を演じているのも『フラッシュゴードン』と同じく水泳のオリンピック金メダリストとして有名なラリー・バスター・クラブ。
飛行船の事故により雪山に墜落したバック・ロジャースと相棒のバディ。雪山の寒さと新開発中のガスの作用により仮死状態となった二人が目を覚ましたのは500年後の未来。地球がキラー・ケーンという独裁者の圧政下にあると聞かされた二人は反乱軍に加わり、援軍を求めて土星へと向かうのであった・・・
だいたいこんなストーリーなのですが
私の世代でバック・ロジャースといえば、昔テレビで放送されていたこの作品を思い出す人も多いのではないでしょうか。
『25世紀の宇宙戦士キャプテン・ロジャース』(1979)
ツーショットの写真が腹話術に見えるんですけど・・・
まぁ、この作品はいずれ書くとして、話を1939年版に戻しますと
今回参考にしたのは『Planet Outlaws』というDVD。これは12話分237分のオリジナル・シリーズを70分程度に編集して劇場公開したとされる作品なのですが、編集で大幅にカットされているので、展開が速すぎてほとんどついていけません。
昔はテレビシリーズを編集して劇場公開するパターンって結構ありましたね。
1939年版のオープニング
ストーリーは特に語るほどでもないので、あとは感想と気が付いた事をいくつか・・・
かなり面白いのが飛行機(宇宙船)同士の空中戦。
モーターボートかセスナ機のような効果音とモクモクと真上に上がる排煙が特徴。
ロケット噴射ではなく、ほとんど花火ですね。ほとんど不時着にしか見えない乱暴な着陸の仕方にも笑わせてもらいました。
ほとんどが大気圏内のドッグファイトで、宇宙空間を飛行するシーンでも周囲が雲だらけという・・・
すげー近くから攻撃して外してるし(爆笑)
着陸している宇宙船のデザイン、ほとんど電車に見えます・・・
この作品の突っ込みどころの多さは尋常ではないのですが、1939年の作品に突っ込むのも野暮な気がするので、あとは省略。
一つだけ言わせてもらうと
肝心な時に必ず不調になる無線機
この演出多すぎです!
無線機が通じないという理由だけでバック・ロジャースは連絡のために何度も土星まで往復するはめになるのですが、無線機の修理が先だろうって何度も突っ込みたくなります。
まぁ、無線機が通じたら土星への冒険シーンが減ってしまうという単純な理由なのでしょうが・・・
ところで
古いSF作品には、単純に「これ欲しい!!」と思うアイテムがたくさんありました。
タイムマシンや物質転送機、それぞれの指に違う武器が仕込まれた手袋、腕時計型通信機、光線銃やロボット、インタロシタ・・・
これは自分が子供だったという理由だけではないような気がします。
現在のSF映画にも欲しくなるようなアイテムはありますが、科学的考証がしっかりしているので大掛かりな物が多く、とても手が届かないといった印象。
この作品にも色々なアイテムが登場しており
無重力ベルト
物を透明化する光線銃
小型のリニアモーターカーのような乗り物
洗脳ヘルメット
遠くの物を映し出すモニター
などなど
昔の方が科学的考証が適当だった分だけ発想が自由だったのは明らかですね。ドラえもん状態というか・・・
そういえば
作戦室から見える未来都市は、以前にブログ書いた事もある『五十年後の世界』からの流用ですね。『フラッシュ・ゴードン』からの流用もチラホラ見られます。主人公のバスター・クラブが流用に見えてしまうのも困ったものですが・・・
最後に
バック・ロジャースが危険な目に遭いながら何往復もしてようやく味方につけた土星人
結局、土星人は反乱軍と協定は結んだものの実際の戦いに関与してくるシーンは皆無で、ほとんどバック・ロジャースと相棒のバディの活躍で独裁者を倒してしまったという・・・
今見ても色々な意味で楽しめる作品ではありますが、さすがに「最後に正義は勝つ!」といった他愛ないヒーロー物のストーリーに夢中になる事はできませんでした。
今はSFも認められ「SFは子供が見るためのもので、大人になったら卒業すべき」と言う人も少なくなりましたが、この作品を見ていると、昔そのように言われていた理由が良く解る気がします。
私はそんなB級作品からも一生卒業できない気がしますが・・・
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コメント一覧 |
投稿者 : テスト
テスト
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2012/08/15 10:46 |
投稿者 : たあ
黎明期は「スペースオペラ」そのものがB級SFとして見なされていましたからね。
日本では「SFマガジン」を「SMマガジン」と勘違いされて白い目で見られていた時代もありましたね(^^;
「フラッシュゴードン」も「バック・ロジャース」も元は漫画がでしたっけ?
自分にとってスペースオペラとの初めての出会いは「キャプテン・フューチャー」なんですが、まだ実写映像化はされていないんですよね(NHKのアニメはありますが、ちょっとイメージが違うんですよねえ)。
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2012/08/15 20:09 |
投稿者 : パラディオン
二作品ともたしかコミックでしたね。パルプ雑誌の表紙でもバック・ロジャースとか見た記憶あります。
そういえば日本でも「キャプテン・フューチャー」なんてのありましたね。あれってエドモンド・ハミルトンのキャプテン・フューチャーだったんですか???
私のスペースオペラとの出会いは…
明確な定義がよく分からないのでなんとも言えないですが、映画よりも小説が先だったのは間違いないですね。
映像だとテレビで見た「スタートレック」や「バーバレラ」あたりになるのかも・・・
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2012/08/15 20:33 |
投稿者 : 野辺夏夫
つられて思い返してみると、私の「出会い」は・・・主人公の宇宙船がだんだんスケールアップして、しまいにはとんでもないことになる〈スカイラーク〉シリーズでした。エスエフって凄まじいなあ、と思ったことでしたが、あれも有名なのに映像化されずじまいですね。
今日まで連綿と続くアメコミヒーローの世界とちがって、すでに途絶えたパルプ雑誌の作品群は、現代のセンスで再生させようとしても、ミソの香りがとんでしまって、つまらない味になりそうです。『スターウォーズ』や『レイダース』はうまくモダナイズされた冒険活劇でしたが、なにしろ特定の原作をもちません。古い乾物をいろいろかき集めて、合わせて煮出して絶品スープに仕立てたようなもので、一度きりしか使えない手だったと思います。
往年のスペースオペラは、荘厳な超大作に仕上げようなどと考えず、大時代で破天荒であやしげな雰囲気を色濃く、かつ茶化さずに映像化すれば、とても楽しい映画になるのでは、とは思うのですが・・・監督にはかなりの力量が要求されるし、そのわりに、なんだか後ろ向きな話のようでもあるし・・・複雑な気持ちです。
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2012/08/16 14:47 |
投稿者 : パラディオン
なるほど、野辺さんのおっしゃる「一度きりしか使えない手」というのは同意ですね。
まぁ、私はスペースオペラって特に好んで見ているわけでもないので、あまり深く考えておりませんでした。
考えてみれば、映像化されていない作品の方がはるかに多いですよね。今更当たり前ですが。中・高校生の頃にむさぼり読んだSF作品などほとんど映画になどなっていませんし。
『宇宙のスカイラーク』とそのシリーズなどは・・・うーん、ちょっと想像しても、テレビシリーズにしたら案外地味になったりして・・・
映画化の話が何度も持ち上がってはいつの間にか消えている作品の多いこと。
SF映画は短編から題材を得て、その監督さんなりの解釈で映像化する、というのが定石のようなので、完成されすぎた作品の映像化は難しいでしょう?
でも、クラークのあの大作もそろそろ見てみたいなぁ、なんて思ったりします。
まず上手くいかないでしょうけど・・・
ところで、「縮みゆく人間」読みました。昔の名作に共通する何か「味」のようなものがありますね、小説ならではの!結末とその余韻も含めて。面白かったです。
初めて読んだのに何故か懐かしく感じたのは何故でしょう?
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2012/08/16 21:43 |
投稿者 : 野辺夏夫
二度目に何を作っても同じだしの二番煎じ、というわけで・・・
クラークなら、ハードな骨格にクラシックな香り、カーリダーサの塔もラーマもダイアスパーも、オーバーマインドの異様さも、あれこそ発達したCGの使いどころ、小説でなくとも、自伝『楽園の日々』に主要作の名場面を織りこんでドラマ化すればすばらしい名作になりそうな予感が・・・スーパーヒーローに頼りっきりの今のハリウッドに期待はしませんが、本国イギリスのBBCあたりなら、あるいは。
(アメリカ人には、ブラッドベリでそれをやってほしいです)
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2012/08/17 13:53 |
投稿者 : パラディオン
そうなんですよ。今のCG技術なら…と、どうしても考えがちですが、期待していた作品が、有名俳優さんのヒーローアクション物のように作られていて驚かされることもよくありますね。
古典などが映像化された場合は原作とは別物と割り切って楽しむようにはしています。
オーバーマインド、見たいような見たくないような・・・
最も好きな作家の一人であったブラッドベリ、今年亡くなったんですよね(涙)
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2012/08/17 22:26 |
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