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Martian Brain Disintegrator『マーズアタック』


今回は玩具です。

先週はシルバー・ウィークとやらで5連休。私にとっては約一ヶ月ぶりの休日となりました。

初日は家でぐったり・・・

二日目は東京へ遊びに行く。

三日目、母親のために買い物、ドライブ、食事など。

四日目、車のワックスがけと物置の大掃除。

久々の休日はやる事がたまっていて、なかなかゆっくり出来ないものです。

五日目は仕事

と、ゆーわけで、

シルバー・ウィーク唯一の収穫と言えるのが上の写真。

東京に行った時に友人からいただいた物で、『マーズアタック』(1996)で火星人たちが使用したレーザー光線銃です。

Martian Brain Disintegrator(火星人の脳粉砕機)と箱に書いてあります。

恐ろしい武器でした。そして格好いい光線銃ですねー!

単三電池三本使用というのが微妙・・・何故三本? 外国製品は分からん。

引き金を引くと、緑の脳みそと赤い部分が光ります。これはなかなか面白い。

そして、映画でお馴染みの4種類の音が出ます。


ちなみに、この映画の光線銃の効果音は、『宇宙戦争』(1953)からの流用ですね。

『マーズアタック』というSF作品と関係が無かったら、こんなオモチャに興味は無いのですが・・・これは完全にツボ。

毎日必ず引き金を引いて遊んでおりますo(^-^o)

ところで、『マーズアタック』はよくカルト映画だとか、お金をかけたB級作品だとか言われておりますが・・・

そもそもB級映画の定義とはなんでしょう?

かなり曖昧なのですが、

本来の定義は「短期間撮影の低予算で製作された映画」というのが通説、というよりもこれがほぼ正解でしょう。ハリウッドの「Aスタジオ(大型)」では大作を撮影し「Bスタジオ(中規模)」では低予算を撮影していた、という事です。

あくまでも、「予算の違い」というわけですね。

しかし、当たり前の事ですが、低予算=低品質ではありません。

逆に、巨額の予算が投じられた超大作でも、質の悪い作品などを、揶揄する意味で「B級映画」と言ったりもします。

単純に低予算の「B級」もあれば、褒め言葉として使われる「B級」もあります。そして「失敗作」というニュアンスが含まれた悪い意味での「B級映画」もあるわけです。

単純に予算の規模だけで「A級」「B級」と分けるような時代ではなくなりました。

でも「B級」ってそれほど悪い言葉ではないと思います。本当の駄作は「C級」あるいは「Z級映画」と呼ばれ、数年後には忘れ去られてしまうのですから。

『マーズアタック』の「B級」は、人によって解釈が違うような気がします。

ティム・バートンがやりたい放題やってしまったという印象の作品ですが、私にとっては完全にツボ。90年代のベスト映画の一つなのです!

地底王国


1976年製作の『地底王国』

ケヴィン・コナー監督が『恐竜の島』(1974)に続いて監督した作品で、原作はエドガー・ライス・バロウズの『地底世界ペルシダー』

地底戦車アイアン・モールを発明したペリー博士は、良き理解者である青年デイビッドと共に地底へと旅立つ。しかし、途中で操作不能となってしまったアイアン・モールは、伝説の地底王国ペルシダーへとたどり着く。
そこはメーハー族と呼ばれる鳥人族が、人類を奴隷にして支配している世界だった。人間たちの王女ディアと知り合ったデイビッド達は、人類を救うためにメーハー族が率いる怪物たちに戦いを挑む決意をする・・・

面白そうです、そして当時の宣伝コピーは、

現代科学の粋を集めた地底探検ロケットがついに発見した謎の世界!
そこは不気味な巨大怪獣が人間を支配していた!

地底に広がる別世界というテーマは確実にSFファンの琴線に触れます。そして、B級映画ファンが泣いて喜びそうなビデオのパッケージ。これでは特撮ファンが見ないわけありませんね。

主演はケヴィン・コナー監督の初期SF作品の全てでヒーローを演じている、お猿さんのような肉体派俳優、お馴染みダグ・マクルーア。
王女ディア役には、『シンドバッド黄金の航海』(1973)のキャロライン・マンロー。王女とはいえ、最初は奴隷。『黄金の航海』とほとんど同じイメージでした。
そして、この映画のおとぼけキャラであるペリー博士役を演じているのがピーター・カッシング。カッシングといえば、クリストファー・リーと並ぶホラー映画のトップ・スター。

ケヴィン・コナー監督作品の特徴といえば、海外作品としては珍しく、操演や着ぐるみの怪物が数多く登場するという事。

はっきり言って、この映画でワクワクするのは、冒頭のアイアン・モールの出発シーンまででしょう。直訳すると、鉄モグラ。サンダーバードみたいで格好いいです。


このシーンはこれからの冒険を期待させてくれるのに十分な出来栄えですが、地底王国に到着してからは、これでもか、とばかりに着ぐるみ丸出しの怪物が大挙登場します。


これらを初めて見た時の脱力感といったら・・・

顔がオウムで、体が恐竜の怪物。異常に動きの鈍いカバのような怪物と戦うヒーロー。ワイヤーで吊られてふらふらと空を飛ぶメーハー族などなど。人間よりも一回りだけ大きい着ぐるみ怪獣は、その造型も含めて何だか微妙。

うーむ、いくらなんでもこれでは・・・

出来れば、全てノーコメントで通したい気分ですけど(^^;)

特撮の出来は『ウルトラQ』以下で『ウルトラ・ファイト』よりは上、といったところ。着ぐるみの怪物が昔の『シルバー仮面』や『仮面の忍者赤影』を彷彿とさせる、と言えば知っている人には分かりやすいでしょうか。

弓矢で射られ、落下して爆発する怪物なんて、日本の子供向け番組以外で見たの初めてです。こういうのを楽しめるのって、小学生くらいまでじゃないでしょうか?

あまりにも簡単な地底王国への到着。お色気担当のはずのキャロライン・マンローの出番が少なすぎ。本当にそれで大丈夫か?と思わせるほど大雑把でやぶれかぶれな印象のメーハー族襲撃作戦。舞台が地底のせいもあるが、映画全体を通して画面が暗く、開放感が無いのもマイナス。

しっかりとしたストーリーだった『恐竜の島』や『アトランティス/7つの海底都市』(1978)と比較すると、ゲテモノ度数が極めて高い印象。

地面から唐突にアイアン・モールが現れるという帰還シーンは、いかにも大らかさが特徴のケヴィン・コナー監督作品らしいエンディングでした。


結局、この映画で一番楽しめたのは、ひょうきんな老教授を演じていたピーター・カッシングのコミカルな演技でした。これが『スター・ウォーズ』(1977)のモフ・ターキン総統と同一人物とは・・・

これだけでも、この映画を見る価値はあると思います。ホラー映画でのカッシングしか知らない人は必見!!

ジャックと悪魔の国


今回はプロジェクト・アンリミテッドつながりで『ジャックと悪魔の国』(1962)

ペンドラゴンにさらわれた姫を追って、魔術師の島へと渡った農夫ジャックの活躍を描いたファンタジー作品で、ストップモーションによるモンスターが大挙登場して大暴れする冒険映画。

ハリーハウゼン作品の『シンバッド七回目の航海』(1958)のシンドバッド役であるカーウィン・マシューズと魔術師を演じたトリン・サッチャーが、この映画ではそれぞれ主人公のジャックと魔術師ペンドラゴンを演じています。そして監督も『七回目の航海』と同じネイザン・ジュラン。

登場するモンスターもレイ・ハリーハウゼンもどき・・・


プロデューサーのエドワード・スモールはどうしてここまで『シンバッド七回目の航海』に似た作品を企画したのかはホームページに書いてあるので省略・・・しないでちょっとだけ書いておきましょう。

簡単に言ってしまうと、

ハリーハウゼンは『シンバッド七回目の航海』の企画をエドワード・スモールの所に持ち込んだが門前払い。その後、『シンバッド七回目の航海』は大ヒット。

というわけで、

エドワード・スモールは必死に柳の下で2匹目のドジョウを探したわけですが・・・

ハリーハウゼンに特撮を依頼するも断られ、興行的にも大失敗という散々な結果となってしまいました。

確かに映画の出来は『シンバッド七回目の航海』と比べると雲泥の差。予算の都合もあるのでしょうが、同じ監督、主演俳優なのにハリーハウゼンがいないだけでこうなってしまうのか、という印象。

さて、

この作品の見どころはやはりストップモーションで動かされるモンスターたちでしょう。

サイクロプスもどきのコーモラン、双頭の怪物ガルガンチュア、タコのような善玉シーモンスター、猫顔のペンドラゴンなどなど。

特撮はハワード・A・カンパニーが引き受け、前回のブログで書いたプロジェクト・アンリミテッドに下請けされました。チーフ・アニメーターは当時19歳だったジム・ダンフォース。

ちなみに、ダンフォースはプロジェクト・アンリミテッドの所属ではなく、腕を買われ仕事を以来されていた、という関係。ウォーレンはダンフォースはそりが合わなかったものの、アニメーターとしての実力は認めていた、という事でしょう。

しかしこの映画のモンスターたち、写真で見ても一目瞭然ですが、その造型は褒められたものではありませんね、リアリティも可愛げも無いというか・・・

これらのモデルはジーン・ウォーレンと共にプロジェクト・アンリミテッドを立ち上げたウォー・チャンが製作したものですが、ダンフォースは不満たらたら・・・ソフビ人形のようなモデルを毎日アニメートするのは相当辛かったようです。

この映画の長所は作品全体から感じられる独特の大らかさ、悪く言えば脱力系かも・・・。どこか憎めないし、愛しく感じてしまうのが不思議。私は結構気に入っています。


ジャックと魔術師の戦い。魔法をこれほどキラキラと表現するこのセンスが凄い・・・

最後の海底巨獣


最後の海底巨獣(1960)の舞台はカリブ海。海底で氷漬けとなっていたティラノサウルス(アロサウルスかな?)とブロントサウルス、そして一人の原始人が発見され海岸に引き上げられる。二頭と一人が落雷のショックで蘇り、孤立した島で大暴れ・・・とまぁ、こんなストーリーの映画です。

何度かテレビで放送されていましたね。もう二度と見る事もないだろうなぁ、と思っていたら最近DVD化されました。

お笑い、コメディリリーフ的な扱いの原始人、その原始人と少年の友情物語、恐竜や原始人で一儲けを企む権力者の存在、そしてトホホな出来栄えの特撮・・・あらためて見てみると、絵に描いたようなB級娯楽作品ですね、これは。

まぁ、ストーリーなどどうでもいいです。

この作品の見どころは、やはりストップモーションで動く恐竜たち。クライマックスの恐竜vs重機の戦いももちろんストップモーションで撮影されています。

イフェクツ・アドバイザーとして、ストップモーションの生みの親、『キングコング』のウィリス・オブライエンが参加。恐竜の造型はやはり『キングコング』を造型したマーセル・デルガド。そして、実際に特撮を担当し恐竜をアニメートしたのは、プロジェクト・アンリミテッドのメンバー達。

プロジェクト・アンリミテッドというのは、ジョージ・パルのパペトゥーンのスタッフだったジーン・ウォーレンとウォー・チャンが設立した会社で、あの、ジム・ダンフォースも関わっており、ティム・バーやジョージ・パルの息子デイヴ・パルもそのメンバー。
ジョージ・パル作品をはじめ、『アウターリミッツ』などの特撮も手がけた60年代を代表するイフェクツ工房で、『タイム・マシン/80万年後の世界へ』(1960)ではアカデミー特殊効果賞を受賞。

この映画の為に集結したメンバーの凄いこと!

しかし、

恐竜たちの動きはぎこちなく、その造型は玩具のようでとてもマーセル・デルガドの作品とは思えない。

これは一体どうした事か?

この映画のプロデューサーは低予算映画専門ジャック・H・ハリス。

ハリスはもともと時間と費用のかかるストップモーションには反対で、ウィリス・オブライエンとは対立。しかし、ジョージ・パルに紹介されたプロジェクト・アンリミテッドにもストップモーションを勧められ、仕方なくこの作品でストップモーション採用したという経緯があったのです。

これらの事実から推測すると、メンバーは揃ったものの、ストップモーションで撮影するには時間も予算も無かったという事でしょう。

どんなに優れたイフェクツマンを揃えても、予算がなければこうなってしまうのですよ、とこの作品は私たちに語りかけているようです。


なかなかいい味だしている作品だと思うのですが、はっきり言ってしまえば、わざわざ好んでB級映画を見たがる人にしか楽しめない作品でしょう、私のように・・・

渚にて


私のブログで取り上げるSF作品といえば、モンスターや宇宙人が登場し、流線型の宇宙船で他の惑星に行って、効果音はピコピコピコ・・・

今回は、そういった冒険心をくすぐられるような特撮とは全く無縁の『渚にて』(1959)

もしかしたら、これがSF作品であるという事を知らない人もいるかも知れません。DVDやビデオのパッケージを見て完全にスルーしてたりとか。

出演者の名前の見ると、グレゴリー・ペック、フレッド・アステア、アンソニー・パーキンスなどSFとは無縁な人ばかりだし、原題は“ON THE BEACH”って、サーフィン映画と間違えそうなタイトル。

しかしこの作品は、核戦争後の世界を描いた作品で、破滅テーマSFの古典的傑作です。ちなみに、『エンド・オブ・ザ・ワールド』(2000)はこれのリメイク。

破滅テーマのSFとはいっても、

核戦争のシーンや都市破壊、暴動やパニックなどのシーンは皆無。この映画では、それらの出来事は過ぎ去った過去という扱いのようです。そんな理由からか、SF関連の本や雑誌でもほとんど取り上げられる事がありません。

舞台となっているのはオーストラリア。北半球は全滅し、生き残った人々が暮らすオーストラリアにも放射能が迫りつつあり、人類の滅亡は時間の問題という設定。

地味で静かな映画、誰もがそう感じるでしょう。

冒頭の幸せそうな夫婦の描写。二人の間には生まれたばかりの健康な赤ちゃんがいて、普通のドラマっぽい作り。人々は普通に通勤し、酒を飲み、バカンスを楽しんでいます。しかし、彼らは残されたわずかな時間を過ごしている、数少ない生き残った人類なのです。

今まさに滅びようとしている人たちが、何事も無いかのように普通の生活を送っているという描写が悲しくもあり、恐ろしい。特に冒頭の幸せいっぱいに見える夫婦の描写は残酷ですよね、妻の「この子は艦長になるわ」というセリフが切ない・・・

人類滅亡の日まであと半年。人類の最後をこれほどまでに静かに、淡々と描いた映画は他にありません。

悲劇的な運命を静かに受け入れる人々。「確実に迫る死」という絶望感の中で、彼らは最後にどのような思い出を作ろうとするのか・・・


で、見どころは、

映画全編(未来が無いからこそ、全てのシーンに意味があるのでしょう)

アメリカから発信された謎のモールス信号を調査しに行く潜水艦(唯一のサスペンス的な要素かも。衝撃の事実が判明)

潜水艦が立ち寄ったサンフランシスコの描写(これは怖かった)

オーストラリアの民謡「ワルツィング・マチルダ」が映画に見事にマッチしております(感動)

故郷に残る者やカーレースに興じる人々・・・

そして、やがて迎える最後の日(;_;)

本気でお勧めの映画の場合、ネタばれのような事はなるべく書かない事にしてるのですけど・・・

とにかく恐い、悲しい、そして美しい映画であるとも言えます。

ヴァンピレラ(バンピレラ)のスノーグローブ


今回は久しぶりの玩具。ホームページで完全に更新が止まっているスノードームです。

写真はヴァンピレラのスノーグローブで、全体の高さが30センチ近くもあり、スノードーム・コレクターの私が所有するものでも最大級の大きさ。

ヴァンピレラというのは・・・

良く知りません(^^;)

知ってる事と言えば、

古いアメリカン・コミックスの異星から来た女吸血鬼であるという事と、ヴァンピレラというのが「ヴァンパイア」とフランス・コミックの「バーバレラ」の合成語で、名付け親があのフォレスト・J・アッカーマンという事くらい。

私のヴァンピレラのイメージはこれ


真ん中でポーズを決めているのが、フランク・フラゼッタという人のイラスト。SFファンならば、どこかで目にした事があるかもしれません。ヴァンピレラの具体的な姿を絵にして、イメージを決定付けたのがこの人。

その後は、数十年に渡って数多くのイラストレーターなどがヴァンピレラを描いています。何十人か、アマチュアも含めたら数百人でしょう。目のつり上がった派手なメイクをして水着を着せたらなんでもヴァンピレラになってしまうような・・・

息の長いキャラクターです、ヴァンピレラって。

ヴァンピレラが生まれたのはドラキュロン星。この星の海や川を満たしているのは、人間の血液にそっくりな成分の液体。ふとした事から地球にやってきたヴァンピレラがドラキュロン星人として栄養をとるためには、人間を襲ってその血液を吸い取る吸血鬼にならなくてはいけなかった・・・と、まぁこんな設定らしいのですが、このセクシーな吸血鬼がアメリカでは大人気らしいのです。

昔のSF雑誌では良くヴァンピレラを見かけたものですが、その風貌から日本人には受けないだろうなぁ、と思っていましたがやはりと言うか・・・

1996年には、製作総指揮がロジャー・コーマンで映画化もされていますが評価は最低。これはアメリカでも受けなかったようです。

しかし、アメリカン・コミックスのキャラクターはいつブームになるか分かりません。ある日突然、再映画化されて大ヒットなんて事があるかも?


巨大アメーバの惑星


1959年製作の『巨大アメーバの惑星』の原題は“The Angry Red Planet” 直訳では『怒れる赤い星』となります。

このポスターやビデオのジャケットをみてワクワクしないSFファンはいないでしょう。昔は、繰り返しテレビで放送されていたものです。

製作はシドニー・ピンク、監督はこのブログでも何回か取り上げた事のあるイブ・メルキオール。

アメリカ・ネバダ州の宇宙基地に、連絡が途絶えていた火星探査ロケットが突然帰還するところから映画は始まります。
そして、火星探検のシーンは、唯一五体満足で帰還した女性隊員の回想シーンとして描かれています。

この作品が作られた50年代は、低予算のB級映画が大量に生産されていた時代。わずか十日間で撮影されたというこの映画も一目見て低予算と分かるチープな作り。火星の風景や都市などのまるで立体感の無い絵には唖然としてしまいます。

しかし・・・これは、古典SFの名作と言ってもいいかも知れません。

火星のシーンだけが真っ赤に変化するという手法はなかなか幻想的で恐怖感を煽るのにはかなり効果的だったと思います。夢を見ているような不思議な感覚にとらわれるのが心地よい。その画面の見づらさが幸いしてチープさやセットのアラもあまり気になりません。

これ、シネマジックという手法で結構複雑な工程で製作されているらしいのですが、私にはモノクロ・フィルムにオレンジ色のフィルターをかけただけにしか見えませんけど・・・

多数登場するモンスターたちはかなり個性的。


三つ目の火星人、巨大な肉食植物、目玉がクルクルと回転しながら襲ってくる巨大なアメーバ、そしてモンスター・ファンならば誰もが知っているあのコウモリグモ。

英語では“Bat Rat Spider”

正しくは「コウモリ・ネズミ・クモ」ですね。言われてみればネズミも入っているような・・・

このモンスターが操演で動く姿のインパクトといったら・・・よだれを垂れ流しながら奇怪な声を上げるという、そのあまりにも強烈な印象は今でも脳裏に焼きついております。このコウモリグモの造型だけでも、SF映画史に名を残す事ができるのではないでしょうか。

ところで、チュパキャブラスという未知の生物を知っているでしょうか?
体長は1メートルほどで、赤色の体毛、真っ赤な大きな目、後ろ足で立って歩き、背中には棘とコウモリのような羽が生えているというのがその特徴。

これ、ホームページでも書いた話なのですが、チュパキャブラスとして公表された写真の中に、コウモリグモの顔のどアップの写真があったとか・・・たしかに特徴は似ていますがあまりにもお粗末な話ですね。

話を映画に戻して、

このモンスターを糸で操っているのはボブ・ベイカーという人で、元々はジョージ・パルのパペトゥーンのスタッフで、独立後に自分の会社を設立。このコウモリグモや『未知との遭遇』のエイリアンなどを自ら製作、操作していたそうです。

個人的には大好きな映画なので褒めてばかりですが、やはり50年代に作られた低予算映画。アラや突っ込みどころも満載です。

例えば、

女性隊員がほとんど動かない肉食植物の触手に巻かれるシーンなどはもう、何と言ったらいいのか・・・エド・ウッド監督の『怪物の花嫁』(1955)でタコのヌイグルミと格闘するベラ・ルゴシを思い出してしまいました。

かなりトホホなシーンも多いのですが、何度見てもワクワクしてしまうところがこの映画の魅力の一つ。コウモリグモのシーンだけでも見る価値ありです。


この映画を一言で表現するならば、「悪夢」。ゴキブリよりもクモが嫌いな私にとっては悪夢そのもの。こいつのフィギュアだけは絶対に部屋には飾れません・・・

ヒュドラ アルゴ探検隊の大冒険


モンスター図鑑の第十一弾は、ギリシャ神話のアルゴー船の冒険を映画化した『アルゴ探検隊の大冒険』(1963)に登場し、黄金の羊毛皮を守っていたヒュドラ。
しかし、ギリシャ神話の中で黄金の羊毛皮の番をしている怪物は、単に「竜」と書かれている事が多く、ヒュドラとは別物です。

神話でのヒュドラはアルゴー船の冒険ではなく、ヘラクレスの冒険物語の第二の難業に登場します。

九つの頭を持ち、真ん中の頭は不死。ヘラクレスがそれらの頭を次々と叩き落していくと、そのたびに落とされたところから新しい頭が二つずつ生えてくるという水蛇の怪物。ヘラクレスは、従者の手を借りてヒュドラの頭を焼き払い、不死の頭だけは大きな岩の下に埋めて退治しました。

ハリーハウゼンはこの怪物をジェイソンの適役として登場させたのですが、映画でこのシーンを再現するのは困難だった為、頭は七つに変更されました。

このモンスターのデザインは古代の壷に描かれた絵を参考にしたとか。

下の写真はヘラクレスとヒュドラを描いた壷ですが、ひょっとしてこれかも。


ヒュドラのアニメートの作業も、ハリーハウゼンが最も苦労したものの一つと言われています。

モデルは全長約90センチ! ハリーハウゼンが使用したモデルとしてはおそらくこれが最大。七つのクネクネと動く頭、二股に分かれた尻尾、さらには口やマブタまで動かすことができるモデルを人間の動きに合わせる作業は想像もつかないほど複雑なものだったと思います。

この作品が作られたのは、まだビデオもなかった時代。作業後のチェックが出来ない為、一日の作業が終わると次の日にどこを動かすのかを示すメモを、ヒュドラの七つの頭それぞれに付けていたそうです。

しかし・・・

出来上がった映像はちょっと動きが単調で、苦労の割にはそれほど効果があったとは思えないのは私だけでしょうか? なんか印象が薄いんですけど。

ヒュドラの歯から生まれた七体の骸骨剣士がこの映画のクライマックスで、ヒュドラ自体は骸骨剣士が登場するための伏線、骸骨剣士の前座のような扱いでした。
予算と時間の都合を考えれば仕方なかったのかもしれませんが、心臓を剣で一突きされ、あまりにも簡単に殺されてしまったのはちょっと不自然な印象を受けました。

最後に定番のフィギュア


我が家唯一のヒュドラはお馴染みのエクスプラス製。小さいながらも結構よく出来ています。

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