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ケンタウロス シンドバッド黄金の航海


ハリーハウゼンのモンスター図鑑第十弾はケンタウロス。

言うまでも無く、ケンタウロスとはギリシャ神話に出てくる怪物ですが、書くと長くなるので省略。

詳しく知りたい方はウィキペディアでもどーぞ → ケンタウロスの詳細

特筆すべきは、生まれが違うとされるケイローンとポロスの二人のケンタウロス。ケンタウロス族は半人半馬の怪物ですが、この二人だけは、神話の中でも賢者として描かれています。特にケイローンは不死身なうえに医術、狩猟、武術、預言術などの達人で、上のリンクでは書かれていませんが、あのアルゴー船を率いたイアソンの師匠でもありました。ケイローンの天に昇った姿が射手座であるとも言われています。

本来はギリシャ神話である『アルゴ探検隊の大冒険』(1963)に登場するはずのモンスターですが、実際ハリーハウゼンは『アルゴ探検隊の大冒険』の準備中にサイクロプスとケンタウロスを組み合わせたデザインを考えついたそうです。

結局『シンドバッド黄金の航海』(1973)でお披露目となったわけですが、最初の登場シーンで、洞窟の奥から響いてくるひづめの音が異常に怖かったのを覚えています。

しかし、その髪型が原因で、一つ目のデザインにも関わらず、当時の人にはこれがデビッド・ボウイに見えたとか・・・


クライマックスのグリフォンとの格闘シーンは必見。これのアニメート作業は大変だったようです。二体合わせて手足が八本、それぞれの目、口、尻尾、さらにはグリフォンの羽は常にバタバタと羽ばたいているという。しかも、二体とも毛で覆われているため、指の跡が目立たないようにしなければならないわけで・・・考えてみてば、これほど複雑なアニメート作業って他になかったかもしれません。DVDで確認してみましょう!

下はアニメート中に常にオペラのテノールを意識していたという、ケンタウロスの断末魔のシーンです。言われてみればそう見えますね。


ハリーハウゼンがデザインしたケンタウロスの恐ろしさは神話のイメージ以上だと思います。玩具、フィギュアが大好きな私ですが、これのフィギュアはもっておりません。なんだか気持ち悪くて食指が動かなかったのがその理由。良い造型の物もありますが、毛並みをプラスチックや合成樹脂で表現するのはなかなか難しいようで・・・

ロスト・ワールド


1925年のサイレント映画『ロスト・ワールド』。ストップモーションによる特撮を担当したのは、レイ・ハリーハウゼンの師匠ウィリス・H・オブライエン。この作品が後世に与えた影響は計り知れないものがあるのですが、内容については、ある程度私のホームページで書いているので省略。

というわけで、今回書いてみようと思ったのはこの作品にまつわる一つの大事件。

『ロスト・ワールド』の原作者は『シャーロック・ホームズ』の作者として有名なアーサー・コナン・ドイル。
コナン・ドイルといえば、神秘主義者としても有名で、「コティングレー渓谷の妖精写真」を本物と認め、『妖精出現』という本まで書いてしまったほど。下がその写真です。


これは昔オカルト系の本には必ずといっていいほどよく載っていたものですが、ピンを使って妖精の絵を地面に挿して撮影したというのが真相だそうです。

あのコナン・ドイルがこんな物信じていたのか・・・と思ってしまいそうですが、この写真は後にレタッチされた物で、1917年に撮影されたオリジナルのものはこれほど鮮明に映ってはいませんでした。
オリジナルの物を見た事があるのですが(ネットで画像検索したけど見つかりません)写りが悪すぎて、まぁ、これなら信じても仕方が無いかなぁ、というほど酷いものでした。コナン・ドイルのファンは一安心といったところ。

この時代のオカルト信者にとって天敵のような存在だったのが、アメリカの奇術師ハリー・フーディニ。偽超能力者やインチキ霊媒を暴き続けた事でも有名です。

事件はフーディニが全米奇術協会のパーティーにコナン・ドイルを招いた時に起こりました。

かなり前に本で読んだもので、手元に資料がないので細部は間違っているかも知れませんが、おおまかな話は次のとおりです。

ドイルは出来上がったばかりの『ロスト・ワールド』のテスト・フィルムをパーティー会場に持ち込み、恐竜の映像を公開します。
ちょっとしたイタズラ心で、天敵フーディニを驚かしてやろうと考えただけだったのですが、新聞記者たちはこれが本物の恐竜を撮影したものと信じ込み、「生きた恐竜」のニュースが翌日のニューヨーク・タイムズの見出しを飾ってしまったのです。
その結果、ニューヨーク市民は大混乱に陥った、という話。

うーむ、ちょっと信じられないような話ですが、写真ではなく実際に動く恐竜の映像を見せられてしまい、奇術師たちも否定する事は出来なかったという事でしょうか。その後事件がどうやって沈静化したのか、新聞は誤報を詫びたのかなど、事の顛末はよく分かりません。

これは実際に映画が公開される数年前の事で、ストップ・モーションの技術がまだほとんど知られていない時代。なんだかオーソン・ウェルズの『火星人襲来事件』に似たような話ですね。

『ロスト・ワールド』には実際の動物の映像も使用されていて、それと比較したら恐竜の動きが不自然なのは一目瞭然なのですが、当時の人たちの目には『ロスト・ワールド』の恐竜が本物に見えた、という事ですか・・・


金星ロケット発進す


『金星ロケット発進す』(1959)は東ドイツとポーランドの合作映画。『惑星ソラリス』の原作者スタニスワフ・レムの『金星応答なし』の映画化です。

映画はゴビ砂漠の巨大隕石の落下跡から不思議な物体が発見されるところから始まります。調査の結果、それは金星から飛来した物で、ある種の記憶メディアである事が判明。謎を解くために各国から科学者が集められ、調査のためにロケットで金星へと出発する。

隕石と思われた物は、おそらく巨大な宇宙船が地球に墜落したものであり、金星には知的生命体が存在すると考えられる。しかし何故、金星は沈黙を守っているのか・・・

というわけで、これは結構お勧め。

私が持っている『米国制作版』のDVDでは出演者の声が英語に吹きかえられていて、口と英語が合っておらず、字幕が日本語だからなんだか見ていてちょっと気持ち悪いです。

そんな事はどうでもいいのですが、

当時の他の作品とは一線を画していて、宇宙モンスターや光線銃のような非現実的な物は一切出てきませんが、探査ロケットのコスモストレーター(コスモクラトール)、ロケット内部のメカや宇宙服、放射線に覆われた金星の地表、金星のコントロールルーム、重力場をコントロールする「白い球体」などレトロ感たっぷりなデザインは、こういうのが好きな人にはたまらないでしょう。


映画の前半では、わざとらしいほど国際色豊かな乗組員にハイテク・ロボットのオメガが加わり、科学万能主義を連想させます。しかし映画の後半では、金星が沈黙を守っている理由は、実は核によってすでに自滅してしまったから、という事が判明。なかなかひねりが利いたストーリーだと思います。

核で滅びた金星の廃墟で、乗組員が日本人の女性科学者スミコに「何を考えている?」と尋ねるシーンがあります。スミコは「広島のこと」と答えたハズですが、『米国制作版』では「惨劇を・・・」に差し替えられています。

この作品『ドイツ版』とか『アメリカ版』など数種類存在するらしいのですが、現在(2009年3月時点)780円で入手可能な物は、大幅にカットされたという『アメリカ版』(79分)と思われます。

あとは、個人的な感想でも。

悪役のような人物が登場しないのがイイ!(全員が一丸となって危機に立ち向かうという姿勢は見ていてとても心地よいです)

ちょっとだけ『禁断の惑星』を思い出しました(進歩しすぎた文明により自ら滅んでしまう点やロボットが出てくるあたり)

紅一点の谷洋子さんは目立ちまくり(大和撫子って良くわからないけど、こんな感じなのでしょうか?)

思ったほどオメガが活躍しなかった(天気予報とチェスの相手くらいで、あとは人間の廻りをうろつくだけ、最後は暴走して船員に怪我をさせてました)

三人も犠牲者が出て後味が悪い(ほとんど無駄死に、これに何の意味があるのか・・・)

昆虫型ロボットの動きはあんまりです(糸で吊ってあるのがバレバレでヨーヨーみたい)

コスモストレーターがかっこいい(最初にこの映画を見たいと思ったきっかけがこのデザイン、見とれてしまいました)


あとは、古典的名作といわれる原作『金星応答なし』をもう一度読んでみようかなぁ、と。なにしろ原作は中学生の頃に読んで、衝撃の結末以外は全て忘却の彼方・・・だから原作に忠実なのかもさっぱり分かりません。せっかく原作があるのなら、比べてみなくては。

船乗りシンドバッドの冒険(第四夜)


船乗りシンドバッドの話は今回で最後。これまでのシンドバッドの航海のパターンですが、

異国で商売がしたくて船に乗る
      ↓
船が遭難して、ある島に流れ着く
      ↓
怪物などに遭遇して危機一髪
      ↓
偶然、あるいは自らの機転で一人だけ生き延びる
      ↓
その島の王様に出会って気に入られる
      ↓
再び商売で成功し、バグダッドに戻る
      ↓
遊蕩三昧の日々を送る

ほとんどこれの繰り返し。

第七の航海まで、あと三回シンドバッドは旅に出ます。

背中におぶったら誰も助からないという「海の老人」と呼ばれる人食い、月に一度鳥の姿に変身する悪魔の手先、船をも一飲みするほどの巨大な魚などが登場すますが、残りの航海も似たり寄ったりのお話です。

というわけで、私自身が飽きてきた事もあり、もうこれ以上筋書きは書きません。

最後の第七の航海では27年という年月を費やし、年老いたシンドバッドは旅や冒険に飽きて、これ以降二度と航海に出る事はありませんでした。お金持ちになったシンドバッドが、この世の愉悦や快楽をつくして暮らす、というところで物語は終わります。

さて、最初の趣旨に戻って、最も原作のイメージに近い「シンドバッド映画」は何か、という事ですが・・・

シンドバッドといえば海を舞台にした冒険活劇がほとんど。この類の作品はは原作とかけ離れているという事はもう分かったと思います。

中にはこんなセリフもあります。
「旦那様、私は商人で商売の事以外は何も存じません・・・」
とても、シンドバッドの言葉とは思えませんが、これが現実。

怪物は原作にも結構登場しました。巨大な鳥、巨人、グール(食屍鬼)、巨大な魚、大蛇などですが、シンドバッドは剣を振りかざして戦ったわけでもなく、怯えながらも何とか逃げのびた、といったところ。モンスターが多数登場するハリーハウゼン作品も原作とはだいぶ違います。

私が見た事がある作品に限られますが、一番原作に忠実だと思われる映画はこれ


カレル・ゼマンが1972年に監督したアニメ作品『シンドバッドの冒険』

カレル・ゼマンといえば、以前ブログでも紹介した事がありますが、切り紙を使ったアニメ、ストップモーション・アニメ、アニメと実写の合成など様々な手法を使った作品を作り「幻想の魔術師」と呼ばれたチェコスロヴァキアの監督さんです。
私が知る限り、この『シンドバッドの冒険』で描かれているシンドバッドが原作に最も近いと思われます。
海が恋人で、ちょっと臆病な青年として描かれているシンドバッドは剣を持つ事もありません。船が難破し、遭難の末たどり着いた島で奇妙な出来事に巻き込まれるというストーリーは、ある程度原作に忠実で、ちゃんと七つの話で構成されています。雰囲気は以前にテレビでやっていた「日本昔話」みたいです。


勇敢な船長シンドバッドを期待して見ると違和感があるかも知れませんが、先入観に囚われなければ、物語そのものは結構楽しめると思います。「これが最も原作に近いシンドバッドだ」という事を念頭に置いて見てみるのも一興かと思います。

船乗りシンドバッドの冒険(第三夜)


前回の続きです。上の写真は問題の第四の航海の挿絵ですが、女性を殴りつけるシンドバッドが描かれています。この挿絵の意味するところは・・・

シンドバッドが航海に出発する理由はいつもと同じ。暴風により船は沈み、シンドバッドはある島に打ち上げられます。ここではグール(食屍鬼)を主とした邪教徒に遭遇しますが、難を逃れてこの国の王様に出会います。馬の鞍を作って大儲けし(馬の鞍という物が存在しない国だった)、王様の世話で妻をもらいました。

シンドバッドはこの時点で一度結婚していたのですね。

そして、歓楽の限りをつくした生活を送るのですが、この国には、シンドバッドには受け入れがたい、ある決まり事があったのです。

これが問題の発端。

この国では妻が最初に死ねば、生きている夫を一緒に埋葬し、夫が先に死んだ場合は妻を一緒に埋葬するという決まりがありました。要するに再婚は出来ない、死後であろうと誰も夫婦の仲を裂く事は出来ないという理屈なのです。

シンドバッドの妻は病気で先に死んでしまいます。

水を一ビンとパンを七切れを与えられたシンドバッドは、妻と一緒に洞窟に生き埋めにされてしまいます。そこには先に生き埋めにされた夫婦の死体がたくさんありました。

シンドバッドはこの危機をどうやって逃れたのか。ここからの描写は最悪・・・

パンと水があるうちは数日間は生き延びる事が出来るわけで、そうやってなんとか死なずにすんでいると、次の夫婦が洞窟に埋葬されてきました。
埋葬した地上の人々はシンドバッドが生きている事に気付かずに、生きている妻とその夫の死体を洞窟の中に残して立ち去ります。
シンドバッドはこれ幸いと、死骸の足の骨を手にとって、女のそばに近づき、いきなり脳天を殴りつけました。気を失って倒れた女を二度、三度と殴りつけ、息が止まったのを確認するとパンと水を奪い取ったのです。
なるべく食料を長持ちさせるように努め、こうして長いこと、洞窟に放り込まれた人間を次々と殺めては、食料と水を奪い、命をつなぎとめていたのです。

(((( ;゚д゚)))ガクガクブルブル

上の挿絵はこのシーンのものなのですが、どーですかこの話。あのシンドバッドが・・・というよりもこっちがオリジナル。

洞窟に迷い込んだ一匹の野獣を追いかけて、出口を発見して助かるのですが、その時シンドバッドの手には宝石がどっさり。この国では女性は綺麗にして埋葬する習慣があったので、死骸の首飾りや宝石、装身具をごっそり拝借してきたというわけ。
島の外れに逃げ延びて、通りがかりの船を見つけてバグダッドに帰り、島での出来事は隠し、元通りの道楽三昧の日々を送るのです。

映画のシンドバッドからは想像も付かないような恐ろしい話ですが、これもアラーのみ心なのだとか・・・

まぁ、考え方によってはどうせ死んでしまうのだし、生き延びるためには仕方なかったのかも知れません。

シンドバッドのスタンダード作品は何か、という趣旨で書き始めたのですが、果たして該当作品はあるのでしょうか。シンドバッドのイメージが音を立てて崩れ落ちて行きます。

おそらく、次回で最後・・・

明後日か、一週間後辺りには書きたいと思っております。

船乗りシンドバッドの冒険(第二夜)


カレンダー通りの連休で暇。早くも前回の続きです。今回は実際にシンドバッドはどのような航海をしたのか、という事を書いてみます。

長くなるので思いっきり省略して書きますので悪しからず。

まずは最初の航海から

裕福な商人の家に生まれたシンドバッドだが、父の散財により家庭は崩壊。残った家財を売り払い異国への旅に出ます。そこである島に上陸するのですが、これが島と思っていたら巨大な魚の背中。逃げ遅れたシンドバッドはある島へと流れ着き王様の計らいで商人として再出発。順調に航海を続け、商人として成功しバグダッドに戻るまでが書かれています。

続いて第二の航海

お金持ちになって遊蕩三昧の日々を送っていたシンドバッドだが、ふっと世界を歩き、交易がしたいという気持ちが湧き、また旅に出ますが、今度はある島に上陸した時に船長に忘れられて島に取り残されてしまいます。
この島には巨獣がすんでおり、その巨獣をも餌にするという、さらに恐ろしいルフ鳥と呼ばれる巨大な鳥が存在していました。
ある日、シンドバッドがルフ鳥の卵を発見し驚いていると、そこに親鳥が戻ってきてシンドバッドもろとも卵の上に覆いかぶさり眠ってしまいます。眠っている隙に鳥の足にターバンを巻きつけ、一緒に飛び立ち島からの脱出を図るのですが、鳥が連れて行った場所は大蛇の谷と呼ばれる場所。
その名の通り大蛇が棲む谷なのですが、そこにはたくさんの獣の屍とともに、宝石がいっぱいあったのです。巨大な鷲が屍をめがけて舞い降り、隠れていたシンドバッドもろとも鷲づかみして舞い上がりました。
鷲がある山の頂に舞い降りた時にシンドバッドは体をもぎ離し、大蛇の谷からの脱出に成功します。
大蛇の谷から脱出した最初の人間となったシンドバッドは別の人間に出会い、手に入れた宝石を売り、巨万の富を得てバグダッドに戻ります。

次は第三の航海

贅沢三昧の日々を送っていたシンドバッドは、異郷の空が恋しくなり、また商売の旅へと出発。台風で航路をそれた船はある島へと流れ着きます。この島にはグール(食屍鬼)と呼ばれる巨人が住んでいて、船長も含め多くの仲間が食べられてしまいました。

上の写真がこのシーンの挿絵です。

生き残った者達で協力し、二本の熱した鉄串を眠っている巨人の目に突き刺しなんとか三人が生き延びます。しかし、一難去ってまた一難。今度は大蛇が登場します。

この辺りはかなりの残酷描写が続き・・・結局、生き残ったのはシンドバッド一人だけ。

船に救われたシンドバッドは船長の計らいで商いをする事ができました。ここでシンドバッドは行方不明になった商人の物であるという荷を引き受ける事になったのですが、なんとその行方不明の商人というのはシンドバッド本人の事で、その荷というのが最初の航海で巨大な魚から逃げた時に失った自分の物だったのです。
こうして、自分の荷を取り戻したシンドバッドは順調に商いを続け、巨万の富を得てバグダッドへと帰ります。

だいぶ省略したつもりですが、長くなってしまいましたので、今回はここまでにします。

これまでの航海で、シンドバッドは商人として船に乗っているだけで、船長ではないという事が分かります。また、剣を持っていない事も。
共通しているのは、冒険とはいっても不可抗力で巻き込まれてしまっただけで、決して自分から望んだ冒険では無いという事。登場したモンスターは巨大な魚、ルフ鳥、大蛇、食屍鬼、大鷲といったところ。

これらに出くわしたシンドバッドが怯えたり、泣き叫んだりする描写もかなりあります。頭の回転が速く、危機回避の能力は大したものですが、映画のような精悍さはほとんど感じられません。

航海が続くほどシンドバッドのイメージが崩れていきますが、次は第四の航海です。

この第四の航海というのが問題で・・・

『千夜一夜物語』には想像もできないシンドバッドの姿が書かれています。次こそが『本当は恐ろしいシンドバッド』の物語です。

明日か、明後日か遅くとも一週間後には書きたいと思っております、ではまた。

船乗りシンドバッドの冒険(第一夜)


シンドバッドを題材にした映画は数多くあります。

古い物では『船乗りシンドバッドの冒険』(1946)、上の写真は『宇宙戦争』のバイロン・ハスキンが監督した『キャプテン・シンドバッド』(1963)のビデオのパッケージです。そしてアニメも多く作られています。最近では、TVシリーズの『アドヴェンチャー・オブ・シンドバッド』というのもありました。そして、レイ・ハリーハウゼンの『シンドバッド・シリーズ』。これは大ヒットし、ハリーハウゼンの代名詞とも言えるほど有名な作品となりました。

若き日のジム・ダンフォースは『シンドバッド7回目の航海』を製作中のスタジオにハリーハウゼンを訪ねた事があります。
憧れのハリーハウゼンにレクチャーまでしてもらったダンフォースは感激したものの、『シンドバッド7回目の航海』に使用されるさまざまなモンスターなどを見て、「この作品はシンドバッド映画のスタンダードにはならないだろう」と思ったそうです。

そこで思いついたのですが・・・

本当にシンドバッドらしい映画、シンドバッドのスタンダード作品は何か、という事をちょっと考えてみようかと。

映画や絵本、または子供向けに翻訳された冒険物語でのシンドバッドは知っていても、オリジナルの物語を知らない人は多いのではないでしょうか。

近年、オリジナルのグリム童話を翻訳した本が出版され、いかに皆が知っている童話が脚色されているか、という事が話題になりました。でもそんなのはグリム童話に限らず、聖書やギリシャ神話でも同じ事。シンドバッドの話が書かれている『アラビアン・ナイト』も例外ではありません。

映画では、海の荒くれ者たちを部下に持つ船長であり冒険家、とてつもなく強い剣士、悪と戦うヒーローといった姿が描かれる事がほとんどで、これが多くの人がイメージするシンドバッドだと思いますが、実際のところはどうだったのか・・・

『千夜一夜物語』では船乗りシンドバッドの物語は第537夜から566夜まで。最初に登場するシンドバッドの描写は以下の通り。

白い顎鬚で堂々とした恰幅、顔かたちは品よく福々としていて、見るからに重厚な威厳の備わった、神々しいばかりに気高い一人の老人。

いきなり老人として登場ですか・・・

その老人が過去に経験した摩訶不思議な冒険、最初の航海から最後の七回目の航海までを回想する事によって物語は進行します。ハリーハウゼンの最初のタイトルはこの七回目の航海から付けられたものだったのです。

そういえば、映画ではシンドバッドが何を生業にしているのかという事は描かれていませんね。冒険家とかトレジャー・ハンター、あるいは海賊の類と思っていた人もいるかもしれません。

実際には、異国の人々と交易をしてお金をもうけている商人だったのです。最初にはっきりさせておきたいのは、シンドバッドは船長ではなかったという事。異国行きの船にのった商人の一人に過ぎません。そして、映画で見られるような剣を取ってのチャンバラ・シーンなどは一切ありません。

この時点で、ほとんどこれまでのシンドバッドに対するイメージが崩れてしまいました・・・

七回に及ぶ航海でシンドバッドはどんな冒険をしたのか、という事ですが、長くなりそうなのでまた次回、第二夜として書きます。

明日か、明後日か一週間後になるか分かりませんが、衝撃の事実、本当は恐ろしい「船乗りシンドバッド」について、そして、最も原作のイメージに近い「シンドバッド映画」を勝手に決めてしまおうと思っております。

インベージョン・アース


インベージョン・アース(1987)は地球侵略を目論むエイリアンとそれを阻止しようとする子供たちとの戦いを描いた作品、とは言っても、これはコメディ。

とある田舎町の映画館を占領したエイリアンが、映写室を地球侵略計画の司令室として使用。長時間、暗闇で映像を見せることにより人間の脳機能を低下させ、地球人を洗脳しようと計画する。

というわけで、実はエイリアンが見せるこれらの映像こそが、この映画のメインとなるわけです。

50年代から60年代初頭までのSF映画ばかり、B級からZ級まで、ビデオ・パッケージの説明によれば全部で35本の映画が見られる事になります。

内容が滅茶苦茶で、どういう目的で作られた作品なのかさっぱり分からないのですが、おそらく・・・レトロSFへのオマージュ、あるいはSF映画大全集といった類と考えればいいのではと思います。古い映像を見せるのが最大の目的だとすれば、ファンならばかなり楽しめます。

映像と現実が微妙にリンクしていたり、現実部分では古典SFのパロディが満載なので思わすニヤリとしてしまうシーンも満載。しかも、ボディー・スナッチャーのサヤを利用したエイリアンの侵略計画の名称が『プラン・9』というのだからもう完璧!

しかし、やはりメインはB級SFの映像。断片的にではありますが、未DVD化の作品や昔テレビで見作品、さらには雑誌の写真でしか見た事がないようなモンスターが実際に動くシーンが見られるのだから、マニア必見の映画と言ってもいいでしょう。

この「断片的な映像」というのがポイントで、予告編などもそうなんですけど、本当にしょうもない映画でも面白そうに見えてしまうんですね。この作品がきっかけでB級SFを鑑賞し始めた人って結構いるかもしれません。

以下、上映作品(ビデオ・パッケージより)

IT CAME FROM OUTER SPACE
戦慄!プルトニウム人間
暗闇の悪魔
巨人獣
吸血原始蜘蛛
遊星よりの物体X
ボディー・スナッチャー/恐怖の街
LET'S ALL GO THE ROBBY
宇宙水爆戦
大アマゾンの半魚人
タランチュラの襲撃
キングコング対ゴジラ
金星人地球を征服
THE MOLE PEOPLE
恐怖のカマキリ
怪獣ゴルゴ
地球防衛軍
巨大な爪
世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す
水爆と深海の怪物
3馬鹿大将宇宙の巻
地球へ2千万マイル
原子力潜水艦
顔のない悪魔
THE BRAIN FROM PLANET AROUS
トロレンベルグの恐怖
惑星アドベンチャー・スペースモンスター襲来
人食いアメーバの恐怖
宇宙戦争
放射能X
冷凍凶獣の惨殺
SF第七惑星の謎
巨大アメーバの惑星
空の大怪獣ラドン
巨大猿怪獣

定番の古典から未公開の作品まで幅広く収録されています。そして、めったに拝めないモンスターたち。ちなみにこのビデオ、去年まで近所のレンタル屋にありました。田舎って面白い・・・


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